偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
秀の父親は脳外科医の権威と言うことで、どんな人なのかと懸念していたが、秀に負けず劣らずの見目麗しい、とても温厚な方だった。
義母もおっとりとしていて、とても気さくな方で、まだ中学生だという年の離れた妹も、素直そうで可愛らしい女の子だった。
これぞアットホーム、理想の家族の見本のように見えたが、だからこそ前妻の子供である秀は、医師になり家を出て以来、遠慮してあまり家に寄りつかなくなっているようだ。
秀が職場からの電話で席を外した際、そのことを憂いていたという両親から、「不器用なところもありますが優しい子です。どうか末永くよろしくお願いします」そう言って、深々と頭を下げて託してもらった。
父親に至っては、目尻にうっすらと涙まで滲ませていた。
おそらくこれまで浮いた話のひとつもなかった秀のことを案じていたからに違いない。
少々罪悪感は感じたものの、偽りとは言え結婚するのだから、有り難く素直に受け取って、「こちらこそよろしくお願いします」と返しておいた。