偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
秀が嘘を言っているようには見えない。
だからって、にわかに信じることができない。とにかく話を聞かないことにはーー。
「……わかった」
「ありがとう、恋」
答えた瞬間、ほっとした様子の秀にぎゅっと抱きしめられて、恋は突然の抱擁にびくついてしまった。
「悪い。ここじゃ寒いよな」
それを秀は寒いからだと思ったようだ。
「大丈夫だかーー」
「駄目だ。恋が風邪なんか引いたら大変だろ」
そんなことで話を中断させるのが嫌で放った言葉は、秀の強い口調にピシャリと遮られてしまう。
それが自分を気遣うものだったために、それ以上の反論は諦めて、場所を観覧車のゴンドラへと移すこととなった。
貸し切り状態のため待ち時間もなくすぐに乗り込むことができたのだが。対面に座るものだと思っていた秀に背後からすっぽりと抱きしめられた状態で膝に乗っけられてしまう。
ゴンドラがぐらりと揺れて身体の重心が定まらない。秀に身体を委ねるようにピッタリと密着してしまっている。
ーーこんなのドキドキして話どころじゃない!
「こんなことしなくても大丈夫だから」
「くっついてないと恋の反応がわかんないだろ。俺も寒いし、不安だからこのままで聞いてほしい」
結局はいつものように俺様口調の秀に押し切られた上に、不安げな声音で請われてしまっては、どうしようもなかった。
それどころか胸をキュンなんてさせてるんだから重症だ。
そんなことを思っていると秀が初めて出会った日のことから語りはじめた。