【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「きっと後悔すると思う。……いいのか、それでも」

「いいから、教えて」
 
 アユリの真剣な眼差しを向けられたら、答えざるを得ない状況になった。 

「……分かった。話すよ」

 アユリのためにも、言いたくなかった。ずっとずっと、幸せでいるために。
 墓場まで持っていきたいと思っていた。

「アユリの言うように、想い人といえばそうなのかもしれない」

 俺はアユリに、隠していた全てを話すことにした。

「俺がずっと忘れられない人は……記憶喪失になって、俺のことを忘れてしまったんだ」

「……え?」

 アユリは驚くような表情を見せる。

「その人は、俺の初恋の人だったんだ」

「初……恋?」

「ああ。俺はその人に気持ちを伝えようと、その人を学校の音楽室に呼び出したんだ。……そしたらその途中、彼女は轢き逃げに遭ったんだ」

「えっ……? 轢き逃げ……?」

 出来ることなら、あの日のことは今でも思い出したくない。 頭の中をかけ巡るあの日の出来事が、頭の中にずっと残っているから。

「……レイヤ、もういい。もういいから」

「いや、最後まで聞いてくれ」

 アユリは目に涙をためながら、今にも泣きそうになっていた。
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