crass
あの頃は、蒼輔さんは
毎日のように家に来ていた。

毎日のように…。

朝早くから夜遅くまで
仕事をしていて、倒れるように
私に寄りかかっていた。

今は、少し改善されたみたいで
仕事に没頭する私の方が
遅い時間まで働いている。

それで、よかった。

何かに没頭できるものなんて
私には、蒼輔さん以外なくて
仕事があってよかったって
本当に思っていた。

ひとりになると、抜け殻で
蒼輔さんとの…いろんな
思い出ばかりのあの家には
もう居たくないと思って、
引っ越しを決めた。

家具も全部無くして、
何も置かなくなった。

「何もない部屋なんだな。」
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