crass
こういうのが、好きだった。
蒼輔さんの手が…好きだった。

私の名前を呼ぶ声も、
私が蒼輔さんと呼ぶ声も
とても小さい声でも聞こえた。

私は、この人が、好きだった。

きっと、ずっと。

もうどれくらい時間がたったか…

ベッドから体を起こして
着ていたシャツを羽織った。

時計をみたら0時だった。

すぅっとベッドから降りて
するするスーツを着だして
ちらちら私を見る蒼輔さんを
見ていた。

シャツにネクタイを付け終わると
「…やっぱり不思議だな。亜輝は。」
と蒼輔さんは言った。

私も、羽織ったシャツに袖を通して
随分前から置かれていた
ペットボトルの水を拾って渡した。
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