crass
視線を感じながら、
仕事を進めていたけれど
気になってしまって、見ると、
蒼輔さんがこちらを見ていた。

「亜輝は、俺に、どうしてほしい?」

…何か言えるわけでもない。
私自身がよくわかってないのに。

「なんでもするから。」

「だったら…毎日、キスして。」

「…いいよ。」

「…良くないよ。蒼輔さん。」
私はまたパソコンに目をやった。

相変わらず、捗るわけはない。
今の、蒼輔さんを作っているのは
間違いなく、今の恋人。

カラダの細胞も皮膚もまつ毛も
唇も髪も、しっとりしたあの手も、
もしかしたら…
心も。

オフィスなのに、仕事中なのに、
蒼輔さんはキスをしてきた。
< 21 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop