実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
「――――お招きいただきありがとうございます」
「……リーフ前辺境伯夫人。いや、リーフ前辺境伯との関係は、聞き及んでいる。フィアーナ・レインワーズ公爵家令嬢と呼んだ方がいいだろうか」
「リーフ前辺境伯夫人とお呼びください」
少なくとも、私にとって家族と呼べたのは、レインワーズ公爵家ではなくリーフ辺境伯家の人たちだ。
だから、名乗るならリーフ姓がいい。
「そうか……。ところで、末の息子はわがままなんて言わない人間でな」
「え……?」
国王陛下の末の息子といえば、もちろん我らがレザールきゅんしかいない。
そんな話題が急にふられたことで、動揺しながら斜め右方向に顔を向ける。
そこには、真剣な表情のまま国王陛下を見つめるレザール様の横顔があった。
「…………先の、魔獣討伐の褒美がまだだったな。魔術師団長レザール」
「は。欲しいものは一つしかありません」
「ああ。何でも申してみよ」
なぜ、国王陛下は息子であるレザール様のことを、魔術師団長と呼んだのだろうか。
そのことに首を傾げながら、二人を交互に見比べる。
国王陛下は、レザール様が、年を重ねたらこんな風になるのかというようなイケオジだ。
大人になるにつけ、にてきた二人の父子。
けれど、父子というにはあまりに離れた二人の距離。