実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

「…………レザール様のこと、守りたいのです」
「……そうですね。フィアーナは、そんな人だ。だからこそ、俺はあなたのことを……」

 その時、二人の会話を中断するように扉が開く。
 扉正面、重厚な造りの椅子に座っているのは、国王陛下だ。王妃殿下の姿はない。
 
「…………」

 黙ったまま、深く礼をする。
 レインワーズ公爵家令嬢フィアーナとしてこの部屋に招かれたのは、ラペルト・ウィールディア殿下との婚約が決定した幼い頃、ただ一度だけ。

「よく来てくれたな。顔を上げなさい」

 久しぶりに聞いたその声は、レザール様とよく似ていた。
 顔を上げれば、微笑みながらこちらを見下ろす国王陛下。
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