実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
「……ねえ、こんなところで寝たら風邪を引くよ?」
夢を見ていた私をそっと起こすように、空から下りてきた天使が声をかけてくる。
目を開けると、目の前には先ほどの王子様をそのまま小さくしたような可愛らし
い少年がいた。
「――――レザールきゅん」
「え? 確かに僕の名は、レザールだけど……。あなたは?」
「私? 私は……。あれ?」
目の前には、最推しの末の王子レザール様がいる。
けれど、どうして画面越しではなく、手が届きそうな場所に……。
「あの……」
「え!? 何で泣くの!?」
魂があるなら、きっとその奥底に残されていた記憶のかけら。
その時、私の脳裏に鮮やかに蘇ったのは、先ほど夢で見たばかりの、レザール様のハッピーエンドで悪役令嬢がたどるはずの結末だった。
「…………う、うえぇん!」
「あの、僕でよかったら、聞くけど?」
「ひっく……。天使!?」
夢で見た出来事と、現実の区別がつかないまま、レザール様を知っていたこと、最後には北の地に送られ魔獣に殺されてしまうことを一息に語る。
「…………あ、あの」
「うん……」