実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

 全部語り尽くした後、ようやく現実に戻ってきた私は、顔を青ざめさせる。
 だって、王宮にいるこの年齢の男の子なんて、王族しかいない。
 しかも、彼の名はレザールだという。
 ……つまり彼は、第七王子、レザール。

「ゆ、夢の話ですわ!」
「そうかもしれないね……。でも、今の話は、きっと真実だ」
「……え? でも、今のは夢の話で……」
「でも、真実だ……。だって、僕も君が見た夢と同じ夢を……。あとからあなたを助けようと準備していた、まさか魔獣に襲われてしまうなんて」
「……レザール様」

 立ち上がった少年は、私に向かって子どもらしくない微笑みを向けた。

「北の地に、魔獣がいなくなればいいのかな?」
「え……?」
「そうすれば、あなたを助けることが出来る?」
「……そうかも、しれません」

 レザール様が、ハッピーエンドを迎えて、私も殺されないのなら、きっと遠くから、その幸せを願うことが出来そうだ。

「ん? ところで、どんな夢を見たのでしたっけ?」
「まあ、夢というのはすぐ忘れてしまうから……。それに、あんな辛い夢を覚えていることはないよ……」
「そうでしょうか……」

 それが、私が忘れてしまっていた、二人の出会いだった。
 次に会ったとき、私はすでに王太子の婚約者に決まっていた。
 そんな私をレザール様は、「お姉様」と呼んで慕ってくれた。

 すでに、悪役令嬢と末の王子の関係は、シナリオから大きくずれてしまっていた。
 そのことも知らないままに、私たち二人の運命は動き出したのだった。
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