実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

 もう恩返しできないのに、どれだけたくさんのことをしてくれていたのか、今さらになって知ることが多すぎる。
 そう、レザール様にだって、伝えていない。

「レザールきゅんは、可愛いだけでなく、強くて、優しくて、才能豊かで……」
「え? 予想外に褒めすぎ」
「カッコいいし、魔術師団長で、色合いも美しすぎるし、背が高くてスタイルもよくて、ほんと好き……。好きすぎます。好きすぎて、全てを捧げても足りないほどなのですわ!!」

 顔を上げると、レザール様は耳まで赤くなっていた。
 そんなところまで、可愛らしすぎて……。

「――――でも、もう傷つくようなことをしないでください」
「……俺は、魔術師団長だ。それは……」
「私も戦いますわ!」
「え? どうやって」
「ふふふ……。あちらの世界の知識を使えば」

 次の瞬間、唇を塞がれていた。

「そのままでいて」

 離れていく唇。眉を寄せた表情は、私のことを案じているようだ。
 
「フィアーナを守り続けるから……。どうか俺と」

 たぶん、絶対に叶うことがないと知りながらも、私はその言葉をずっと待っていたのだと思う。
 気が早いことに、聞いてもいないうちから涙がこぼれて止まらない。

「結婚してくれませんか? そして、今度こそずっと一緒に……。一緒にいて欲しい」
「はい……。ずっと一緒にいましょう」

 その言葉に、私が持っている答えは、もちろん一つしかなかった。

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