二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「えーと……?」

(この子は、一体何を言っているんだ?)

 涼は、てっきり「こういう風に呼ばれたいです」という回答が来ると思った。もしも「名前で呼ばれたい」とだけ言われたら、「言い方は?」とか、どうにか言いくるめて名前を名乗らせる算段だった。
 まさか、そのプランを最初から崩されることになるなんて、涼にとっては初体験だった。
 何故なら、これまで知り合った女性達は、いとも簡単に涼の策略にハマり、涼が思い描いた通りの言葉を発してくれるから。

(どうするかな……)

 話の内容から、拓人が教えた内容だというのは明白。
 ここで彼女に意味を聞くわけにはいかないだろう、と考えた。

(と、なると……)


「そうだね。そしたら純粋な女の子だったら、どんな風に呼ばれたいかな」


(この子の見た目を、キャラクターだと言ってしまえば大丈夫だろう)

 涼は、単純にそう考えた。
 拓人がしている仕事ならば、余計にそれくらいで大丈夫だろうと思ったから。
 ところが、さらに予想外な回答が戻ってきてしまう。

「純粋の定義はなんでしょう?」
「て、定義?」
「はい。キャラクターのバックグラウンドとしては、家族に愛されているのか、それとも家族から見捨てられているのか。友達から嫌われてるのか好かれているのか。どういう環境から生まれた純粋なのか」

(待て待て……!?そんなところまで考えるのか!?)

 考えるためのゴールは違うかもしれないが、自分が仕事で使う考察の仕方と、よく似ているではないか……と、涼は思った。

「それに男関係の有無も関係ありますよね。セックス経験があるのかないのか。それによって純粋の度合いが変わる……」

 涼は、この時唖然とした。
 たぬきとチワワを足して割ったような、まさに純粋培養で育ったといわんばかりの香澄からどストレートにセックスという単語を淡々と吐かれてしまったことに。
 その後も次々と「どこから聞いてきたんだ」と言うような、恋愛に関するドス黒い情報が香澄の口から飛び出してくる。
 その、見た目と口から出てくる言葉のギャップにも、涼はやられてしまった。
 ちなみにその後、どうにか苦労に苦労を重ねた結果、まさかのベッドシーンシチュエーションについて語る際に

「そうですね……例えば私だったら……香澄、愛してるよって言われながらそっと耳たぶにキスされるのは……ありかもしれません……ね」

 と、名前を白状させることに成功はしたが、ようやく見せてくれた、照れた表情にも涼はまたグサッとやられてしまった。
< 112 / 204 >

この作品をシェア

pagetop