二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「香澄はどんなデートなら興味がある?」
この流れなら、きっと聞き出せる。
涼は当たり前のように思っていた。
けれど、香澄から飛び出してきたのは、こんな言葉だった。
「あの……この課題の目的って……シナリオで使える素材を増やすためですよね」
「ん?」
「……私みたいな引きこもり女子なんて、ヒロインとして使いづらいと思うんですけど」
香澄は、さも当然と言う表情で言い放つ。
(これは、どうしたものかな……)
シナリオを作るために、いかにキャラクター設計が大事か、涼はこの数十分の間で嫌と言うほど思い知らされた。
弁護士業務でも、きちんと人物像を整理することは要求されるが、香澄が向き合わなくてはいけない人物像は、涼が向き合っているものとは違う。
涼は、お金をくれる依頼者のための人物調査が主だ。
言ってしまえば、すでに存在している人物像を深掘りし、そこから仮説を組み立てることが可能。
ところが、香澄や拓人が向き合っているものは、彼らが生み出す架空のキャラクターに対して、カスタマーからお金を引き出さなくてはいけない。
つまり、カスタマーが支払いたいと思えるような人物を、何もないところからデータ情報として構築しなくてはいけないのだ。
(なかなか、面白い仕事してたんだね。ちょっぴり見直したよ)
と、拓人への見方もほんの少し変わったところ。
だからこそ、涼は今緊張していたのだ。
少しでも、ボロが出れば自分の正体がバレる。
これを乗り切ることができるか否か。
その上で、目の前のキョトンと大きな目をもつ香澄のことをもっと知ることができるか否か。
(なんて、面白いゲームなんだろう)
ワクワクした。
背筋に寒気が走るようなものではない。
頬が熱くなり、自然と笑みが溢れる。
自分は、この現状に興奮しているんだな、と言うことが分かった。
そしてもっと、その興奮を味わいたかった。
「ヒロインとして、使いづらいって香澄はどういうことかわかってる?」
涼は、慎重に言葉を選んだ。
自分がトレーナーという立場であると仮定したら、本当に意味を理解しているかどうかの確認作業は常に入ると思ったから。
香澄は
「そうですね……」
と顔を傾けながら考え込んだ。
その表情も、くるくると変わっていくのが面白い。
「そもそも、ヒロインってプレイヤーの憧れの存在だとも思うんですよ」
「憧れって、どういうこと?」
涼は、本当にわからない。
でも、あえて分かっているフリをして、相手から情報を聞き出す。
普段の弁護士仕事でもしているはずのテクニックを、今涼は心の底から楽しみながら使えている。
自然と、笑みがこぼれ落ちる。
自分がこんな風になれるのも、涼は予想外だった。
「例えば、美人で細くて」
「うん」
(見た目だけの女は、憧れる価値はないよ)
「それから、自分だけにしか使えない、特別な力があって」
(僕にとっては、君にも十分特別な力があるよ)
「それから……イケメン達がつい手を差し伸べたくなる……そんなヒロインかなと」
「ふーん……」
(十分、君にも当てはまると思うよ……香澄)
何故なら涼は、香澄に手を差し伸べたいと心から思っていたから。液晶越しでも。
(とはいえ、このままじゃ埒が明かないな……)
ここで涼は、香澄の発言に幾つかの共通点があることに気づいた。
そこで勝負に出ることに決めた。
この流れなら、きっと聞き出せる。
涼は当たり前のように思っていた。
けれど、香澄から飛び出してきたのは、こんな言葉だった。
「あの……この課題の目的って……シナリオで使える素材を増やすためですよね」
「ん?」
「……私みたいな引きこもり女子なんて、ヒロインとして使いづらいと思うんですけど」
香澄は、さも当然と言う表情で言い放つ。
(これは、どうしたものかな……)
シナリオを作るために、いかにキャラクター設計が大事か、涼はこの数十分の間で嫌と言うほど思い知らされた。
弁護士業務でも、きちんと人物像を整理することは要求されるが、香澄が向き合わなくてはいけない人物像は、涼が向き合っているものとは違う。
涼は、お金をくれる依頼者のための人物調査が主だ。
言ってしまえば、すでに存在している人物像を深掘りし、そこから仮説を組み立てることが可能。
ところが、香澄や拓人が向き合っているものは、彼らが生み出す架空のキャラクターに対して、カスタマーからお金を引き出さなくてはいけない。
つまり、カスタマーが支払いたいと思えるような人物を、何もないところからデータ情報として構築しなくてはいけないのだ。
(なかなか、面白い仕事してたんだね。ちょっぴり見直したよ)
と、拓人への見方もほんの少し変わったところ。
だからこそ、涼は今緊張していたのだ。
少しでも、ボロが出れば自分の正体がバレる。
これを乗り切ることができるか否か。
その上で、目の前のキョトンと大きな目をもつ香澄のことをもっと知ることができるか否か。
(なんて、面白いゲームなんだろう)
ワクワクした。
背筋に寒気が走るようなものではない。
頬が熱くなり、自然と笑みが溢れる。
自分は、この現状に興奮しているんだな、と言うことが分かった。
そしてもっと、その興奮を味わいたかった。
「ヒロインとして、使いづらいって香澄はどういうことかわかってる?」
涼は、慎重に言葉を選んだ。
自分がトレーナーという立場であると仮定したら、本当に意味を理解しているかどうかの確認作業は常に入ると思ったから。
香澄は
「そうですね……」
と顔を傾けながら考え込んだ。
その表情も、くるくると変わっていくのが面白い。
「そもそも、ヒロインってプレイヤーの憧れの存在だとも思うんですよ」
「憧れって、どういうこと?」
涼は、本当にわからない。
でも、あえて分かっているフリをして、相手から情報を聞き出す。
普段の弁護士仕事でもしているはずのテクニックを、今涼は心の底から楽しみながら使えている。
自然と、笑みがこぼれ落ちる。
自分がこんな風になれるのも、涼は予想外だった。
「例えば、美人で細くて」
「うん」
(見た目だけの女は、憧れる価値はないよ)
「それから、自分だけにしか使えない、特別な力があって」
(僕にとっては、君にも十分特別な力があるよ)
「それから……イケメン達がつい手を差し伸べたくなる……そんなヒロインかなと」
「ふーん……」
(十分、君にも当てはまると思うよ……香澄)
何故なら涼は、香澄に手を差し伸べたいと心から思っていたから。液晶越しでも。
(とはいえ、このままじゃ埒が明かないな……)
ここで涼は、香澄の発言に幾つかの共通点があることに気づいた。
そこで勝負に出ることに決めた。