二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
 しばらく、香澄の可愛いツヤツヤしたさくらんぼのような唇を味わってから、涼はひょいと香澄を抱き上げた。
 
(軽い……羽根のようだな……それにやわらかい)

「重くなかったですか?」

 ピンっと張られたシーツの上に、香澄を丁寧に下ろすときに、香澄から不安そうな声が漏れた。

「どうして?」
「私、ダイエットは特にしてないので……それで」
「ああ、だから抱き心地が良いんだね」

 涼はそう言ってから、ほんの少し後悔した。

(しまった、考えていることがそのまま声に出てしまった……!)

 涼は、恐る恐る香澄の表情を伺った。
 香澄は、顔をりんごのように真っ赤にさせているだけだったので、少しホッとした。
 せっかく、あれだけ待ち望んでいた香澄との触れ合いを、自分の失言なんかで涼は汚したくはなかった。

「あ、あの……!私こういうの初めてで」
「うん、恋愛経験ないって、言ってたもんね」

(さっきも言ってたけど、前も、そう言ってたしね。……もし、あの後に誰かに汚されていたなら、汚した男を社会的に殺していたかもしれないけど)

「あ、そうですよね。だから……その……最初どうしていいか分からなくて、失礼があるかもですが……」

(失礼だなんて、気にしなくていいのに)

 涼は、慌てる香澄の唇に自分の人差し指を当てた。
 もうしゃべらなくていいよ、安心していいよ、と指先から伝えるために。
 香澄はパチクリと瞬きをして、涼の人差し指をじっと見つめていた。

(ほんと、どうしてこんなに可愛いんだろうこの子は)

 涼は、照れた様子で自分を気遣う香澄に、早く自分の気持ちを打ち明けたくて仕方がなかった。
 君が可愛いよ。
 君を抱きしめたい。
 君をこの胸に閉じ込めて朝まで離してあげないよ。
 そんな言葉たちが、頭の中をぐるぐる回っている。
 けれど涼は、恋バカ状態ではあるが、思考はできる。
 自分にとっては違っても、香澄にとっては今日が涼との初対面。そんな人間に出会って早々に甘いセリフを吐こうものなら、きっと香澄のような子は逃げ出してしまうと、涼は察していた。
 だからこそ、今涼はまるでハンターのように、慎重に香澄と距離を縮める努力をした。
 じわじわと、安心させてから一気に追い詰めるように。
 その時だった。香澄がフニャッと微笑んだ。
 涼は思わず「香澄」と声をかけそうになったが、ここまでの流れでようやく自分がまだ香澄の名前を直接聞いていないことを思い出した。

(あ、危ない……)

「そう言えば、名前を聞いていませんでしたね」
「名前……ですか?」
「ええそうです。あなたを愛する時は、あなたの名前を呼びたい」

 そう涼が言った瞬間、香澄はそっと目を逸らした。
 涼は、また自分が失言をしたのではないかと、ポーカーフェイスの下で慌てていた。
 でも、そうじゃないことはすぐにわかった。

「香澄……です」

 自分の名前を名乗るのが恥ずかしかっただけなのだ、と、香澄が名前を囁く時の表情で涼は気づくことができた。
 涼は、この時ようやく

「香澄。可愛いね。君にぴったりの名前だ」

 とちゃんと本人に言うことができた。
 幸せすぎて舞い上がりそうだと思った。
 それから、涼はまた少しずつ、じわじわと距離を縮める努力はした。
 けれど、あそこはもうはち切れそうになっている。

「僕のことはリョウと呼んで」
「リョウ……さん?」

(さん付けも可愛い……!でも……!)

「違うよ。リョウだよ。香澄」
「…………リョウ」

(もう、ダメだ……!)

 香澄に、ようやく「拓人先輩」じゃなく「涼」と、自分の名前を呼んでもらった嬉しさから、興奮が爆発してしまった。

「いい子だ香澄」

 ここで涼は、理性も手放してしまい、香澄のバスローブを一気に剥いてしまった。

(うわっ……可愛すぎないか……これ……)

 しっかりと乳房まで目にしてしまった涼は、小さな野いちごのような部分に唇を寄せたくて仕方がなかった。

「あの、やっぱり私……」

 香澄の唇が開いた。
 こう言う時の言葉は決まっている。
 無理です。
 ごめんなさい。
 もし、そんなことを今香澄に言われたら、涼は精神がおかしくなりそうだった。

「ダメだよ」
「え?」
「今、無理って言わないで……」
「どうして……」

 言葉をつなげようとした香澄の唇を、涼は言葉ごと飲み込むように激しく奪い始めた。
 香澄の舌に吸い付いたり、唇を唇で挟んでみたり。
 香澄の果物のようないい香りが、涼の体内にどんどん染み込んでいき、涼の興奮がますます昂っていった。
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