二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「あ……の……?」
香澄は、涼と拓人を見比べながら、声をどうにか発していた。
「何で……?」
ついさっきまで意識を失っていた、ということもあるのだろうか。それとも単に驚いただけかもしれない。香澄の脳は今思考停止しており、どうにか必死で声を発した、ということだけは、涼にも拓人にも伝わった。
涼が声を出そうと口を開くと、そこにかぶせるように拓人がノートを見せた。それは、涼が香澄を追いかける口実に使い、香澄が必死で「返してほしい」と涼に訴え続けたもの。
「これを届けに来たのよ」
「っ!?」
(いつの間に……)
自分も、そのノートを気にしていたはずなのに、何故このタイミングで香澄にそれを見せられるのは自分ではなかったのかと、涼は悔しさで端正な唇を歪ませた。
香澄は、少しだけふらついた足取りで拓人に近づく。
「あの、先輩は……その……」
「安心しなさい。中は見てないわ」
拓人はそう言うと、テーブルに置いてあったノートもあわせて香澄に手渡した。
「あなたの、大事なものでしょう?」
拓人の言葉に、香澄は顔を真っ赤にしながら頷き、片手を拓人の方に伸ばした。
「あ、ありがとうございます……」
拓人が香澄の手の中に2冊のノートを差し込むと、香澄はグッと胸に引き寄せ、抱きしめた。
それから、香澄は愛おしむようにノートを撫でた。その手つきを見て、涼はあの夜を思い出した。
自分の頬を、二の腕を、背中を撫でるあの手つき。
それを自分以外の何者か……例えそれが生物でなかったとしても、涼はそのように大切にされるものに嫉妬心を抱いた。
(くそっ……今はそんなことを考えている場合ではないのに……)
涼は、戸惑いながら自分を見つめる香澄に、どう言葉をかけるべきか悩んでいた。
今までならば、コンピューターと同じくらいのスペックを活かして瞬時に発するべき言葉を導き出していたと言うのに。
これもまた、涼が香澄によって変えられたものなのかもしれないと、涼自身感じていた。それは全て、香澄にもっと好かれたい、もっと求められたいという感情から来ていることもまた、涼は理解し始めていた。
そんな二人のこう着状態に終止符を打ったのもまた、拓人だった。
「ねえ、香澄。少しお腹空かない?」
そう言うと、拓人はブランドもののハンドバッグから、小さいけれど凝ったラッピングをした箱を取り出した。
「はい。ハッピーバレンタイン」
「先輩……」
「調べたけど、ちょっとだけならチョコレート、食べてもいいみたいだから奮発してきちゃった」
拓人はそう言いながら、涼を見た。
お前に、これくらいの気遣いはできるのか、と目だけで聞かれた気がした。
今日がバレンタインであることすら、興味がなさすぎて忘れていた涼は、香澄の、ふんわりと穏やかな笑みで箱を開けるのを見ながら、明らかに自分が不利な状況に立っていることを自覚せざるを得なかった。
(負けたくない)
そんな男としてのプライド剥き出して、涼は初めて実の弟をライバルとして認識した。
香澄は、涼と拓人を見比べながら、声をどうにか発していた。
「何で……?」
ついさっきまで意識を失っていた、ということもあるのだろうか。それとも単に驚いただけかもしれない。香澄の脳は今思考停止しており、どうにか必死で声を発した、ということだけは、涼にも拓人にも伝わった。
涼が声を出そうと口を開くと、そこにかぶせるように拓人がノートを見せた。それは、涼が香澄を追いかける口実に使い、香澄が必死で「返してほしい」と涼に訴え続けたもの。
「これを届けに来たのよ」
「っ!?」
(いつの間に……)
自分も、そのノートを気にしていたはずなのに、何故このタイミングで香澄にそれを見せられるのは自分ではなかったのかと、涼は悔しさで端正な唇を歪ませた。
香澄は、少しだけふらついた足取りで拓人に近づく。
「あの、先輩は……その……」
「安心しなさい。中は見てないわ」
拓人はそう言うと、テーブルに置いてあったノートもあわせて香澄に手渡した。
「あなたの、大事なものでしょう?」
拓人の言葉に、香澄は顔を真っ赤にしながら頷き、片手を拓人の方に伸ばした。
「あ、ありがとうございます……」
拓人が香澄の手の中に2冊のノートを差し込むと、香澄はグッと胸に引き寄せ、抱きしめた。
それから、香澄は愛おしむようにノートを撫でた。その手つきを見て、涼はあの夜を思い出した。
自分の頬を、二の腕を、背中を撫でるあの手つき。
それを自分以外の何者か……例えそれが生物でなかったとしても、涼はそのように大切にされるものに嫉妬心を抱いた。
(くそっ……今はそんなことを考えている場合ではないのに……)
涼は、戸惑いながら自分を見つめる香澄に、どう言葉をかけるべきか悩んでいた。
今までならば、コンピューターと同じくらいのスペックを活かして瞬時に発するべき言葉を導き出していたと言うのに。
これもまた、涼が香澄によって変えられたものなのかもしれないと、涼自身感じていた。それは全て、香澄にもっと好かれたい、もっと求められたいという感情から来ていることもまた、涼は理解し始めていた。
そんな二人のこう着状態に終止符を打ったのもまた、拓人だった。
「ねえ、香澄。少しお腹空かない?」
そう言うと、拓人はブランドもののハンドバッグから、小さいけれど凝ったラッピングをした箱を取り出した。
「はい。ハッピーバレンタイン」
「先輩……」
「調べたけど、ちょっとだけならチョコレート、食べてもいいみたいだから奮発してきちゃった」
拓人はそう言いながら、涼を見た。
お前に、これくらいの気遣いはできるのか、と目だけで聞かれた気がした。
今日がバレンタインであることすら、興味がなさすぎて忘れていた涼は、香澄の、ふんわりと穏やかな笑みで箱を開けるのを見ながら、明らかに自分が不利な状況に立っていることを自覚せざるを得なかった。
(負けたくない)
そんな男としてのプライド剥き出して、涼は初めて実の弟をライバルとして認識した。