二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「その、どS執事って何なんだ」
「あんたのスマホは飾りなの?分からないなら調べなさいよ。すぐに答えが出てくるわよ」

 拓人はそう言ってから、リビングを出て行こうとした。

「どこに行くつもりだ」
「決まってるでしょ。香澄のところよ。2階の和室片付けるって言ってたけど、あの様子じゃすぐにバテるでしょうし」
「じゃあ僕も」
「ダメよ」
「今度は何」
「ちゃんと、どS執事になってから香澄の前に現れなさい」
「だからどうして……」
「あの子が、芹沢涼先生とは一つ屋根の下で居られないって言ってるんだから、しょうがないでしょ!?」
「それ、本当に香澄が言ったのか?お前が僕を香澄に近づけないようについた嘘なんじゃ」
「じゃあ、試してみる?」
「……試す?」

 それから、拓人は俺を連れて2階へと上がった。

(さっきは、香澄を抱いて上がった階段を、どうしてこいつと一緒に上がらないといけないんだ……)

 綺麗な顔の下に、溢れ出んばかりの不満を隠しながら、涼は拓人の後に続いた。
 目的地はすぐわかった。
 香澄の部屋以外に扉が開いている部屋があり、そこから物音が聞こえたから。

「ほら」
「何」
「入りなさいよ」
「いいのか?」
「実際、試さないと分からないだろうから」

(何を試すんだ……)

 と考えつつも、香澄がいる場所ならたとえ火の中水の中、どこへでも行ってもいいとすら思うほど、香澄に恋ボケしている涼なので、あっさりと言われた通りにした。

「香澄?」
「っ!?」

 涼が声をかけた瞬間、ゴトっと何かを落としたような重い音がした。

(何かの箱……?)

 香澄の足元には、今香澄が落としたであろう箱が転がっていた。よく見ると、救急箱だろうか。

「……香澄?大丈夫?怪我は……」

 涼が最後まで言い終える前に、香澄が動いた。

「だ、だだだ大丈夫です!!」

(何故だ)

 香澄は、何故か開いていた押入れの中に入ってしまった。
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