二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
2月14日に無理やり涼と拓人が住むことになった結果、もしかすると張り詰めていた心が緩んだのだろうか。
涼と拓人が、眠れない夜を過ごした後、朝日と共にリビングに降りると、香澄がリビングのソファで死にそうな顔で倒れていた。
ちなみにこの時すでに涼は、拓人により執事服を着させられてから消臭剤をふっかけられていたりする。
「香澄……!」
「あんた何やってるのよ!」
「すみません……お二人のご飯の準備をしようと思いまして……ううっ……」
香澄は、起き上がりながらえずいた。
涼ではなく、拓人が先に香澄の肩を掴んで支えた。
「ああ、いいわよ、寝てなさい……」
拓人は、そっと香澄をソファに横たわらせる。
「じゃあ兄貴、早速出番ね」
「出番?」
拓人は、どこから飛び出したのか、エプロンを涼に投げつけた
「…………これは?」
「決まってるでしょう。執事としての最初の仕事をしなさいってことよ」
(つまり、僕が朝食を作るということか……)
「あ、私は朝はコーヒーだけでいいわ」
「誰がお前に作るか」
そう言いながら、涼はエプロンを身につけ香澄を見つめた。
早速、香澄に自分をアピールをするチャンスがきたのだ。
涼は、チャンスを逃すような男では決してない……はずだった。
(料理はそこまでしたことはないけれど、調べればどうにかなるだろう)
涼は、スマホを片手に台所に向かい、食材を確認しようとした時だった。
「待ってください!」
香澄が、涼を呼び止める。
たったそれだけが、涼にとっては拓人との同じ部屋生活を耐え抜いた最高のご褒美だった。
「僕を呼んだのかな?」
「あ……その……」
「ん……?」
香澄は、涼に何かを言いたそうにしながらも「うっ」と口元を手で抑える仕草をした。
「香澄、吐く?洗面所行く?」
「いえ……吐けるもの、もうないと思うので……」
その言葉で、すでに香澄がトイレかどこかで吐いた後だったことに涼と拓人は瞬時に気づいた。
「兄貴、水持ってきて。吐いてるってことは脱水症状になりやすいはず」
(どうして、そんな知識を知ってるんだ)
そう尋ねたい欲はあったものの、香澄の体の方が100倍大事なので、涼は素直にコップに水道水を入れようとした。
「あ、ばか、そこに浄水器があるでしょう!?」
拓人の小姑のようなツッコミのおかげで、香澄に浄水したばかりの水を飲ませることができたことに、ほんの少しのイライラはありながらも、感謝も覚えた。
(後で日本の名水、香澄のために大量に取り寄せておくか)
そう考えながら、香澄が自分がコップに入れた水を飲み干すのを、緊張の面持ちで涼は待った。跪いた状態で。
(僕が持ってきた水を、おいしそうに飲んでくれる……嬉しい……)
恋ボケした涼の、嬉しさのハードルの高さは、もしかすると幼児用の椅子よりも低いのかもしれない。しかも涼は、水が香澄の濡れた唇を見ながら
(もう1度香澄とキスがしたい……)
などという邪な考えも、ほんのちょっぴり抱いてしまっていた。
そんな涼に気づいたのか気づいてないのか、このタイミングで拓人は咳払いをした。
「ねえ、香澄。さっきこいつを呼び止めたけど、台所に入れたらまずかったかしら?こんなやつ」
いちいち一言以上多い……と涼は拓人を軽く睨みつけた後で、今度は本気で心配そうな顔で香澄を見た。
「それとも僕に、何かしてほしいことがあるのかな?」
「あ、その……」
香澄は、再び目を伏せて口をモゴモゴさせている。
「……香澄?」
「あの、ですね……」
「うん」
たった数文字の中身のない会話なのに、涼は楽しいと思っている。
これもまた、恋ボケのなせる魔法なのだろう。
「もう少し……ここにいてもらえませんか?」
この香澄の言葉を聞き、涼が舞い上がらないはずはなかった。
昨日はあんなに避けられていたのに。
「もちろんだよ」
涼がそう言うのと同時だった。
拓人がこう尋ねたのは。
「あんた、まさかエプロン姿の執事を見てネタ考えたいからとか言わないでしょうね」
(え?)
「あ…………はい…………エプロン姿の執事って……そそられるじゃないですか……じっくり観察したくて…………」
「香澄、ペンと紙いる?持ってきましょうか?」
「あ、ぜひ」
それから15分ほど、香澄と拓人はそれぞれエプロン執事姿の涼に創作のための様々なリクエストを次々に要求し続けた。
こうして香澄と、不本意ではあるが拓人との一つ屋根生活が始まった涼だったが、それから気が抜けない日々が続くことになった。
理由の1つ目が、まさにこの香澄のつわりの酷さだった。
涼と拓人が、眠れない夜を過ごした後、朝日と共にリビングに降りると、香澄がリビングのソファで死にそうな顔で倒れていた。
ちなみにこの時すでに涼は、拓人により執事服を着させられてから消臭剤をふっかけられていたりする。
「香澄……!」
「あんた何やってるのよ!」
「すみません……お二人のご飯の準備をしようと思いまして……ううっ……」
香澄は、起き上がりながらえずいた。
涼ではなく、拓人が先に香澄の肩を掴んで支えた。
「ああ、いいわよ、寝てなさい……」
拓人は、そっと香澄をソファに横たわらせる。
「じゃあ兄貴、早速出番ね」
「出番?」
拓人は、どこから飛び出したのか、エプロンを涼に投げつけた
「…………これは?」
「決まってるでしょう。執事としての最初の仕事をしなさいってことよ」
(つまり、僕が朝食を作るということか……)
「あ、私は朝はコーヒーだけでいいわ」
「誰がお前に作るか」
そう言いながら、涼はエプロンを身につけ香澄を見つめた。
早速、香澄に自分をアピールをするチャンスがきたのだ。
涼は、チャンスを逃すような男では決してない……はずだった。
(料理はそこまでしたことはないけれど、調べればどうにかなるだろう)
涼は、スマホを片手に台所に向かい、食材を確認しようとした時だった。
「待ってください!」
香澄が、涼を呼び止める。
たったそれだけが、涼にとっては拓人との同じ部屋生活を耐え抜いた最高のご褒美だった。
「僕を呼んだのかな?」
「あ……その……」
「ん……?」
香澄は、涼に何かを言いたそうにしながらも「うっ」と口元を手で抑える仕草をした。
「香澄、吐く?洗面所行く?」
「いえ……吐けるもの、もうないと思うので……」
その言葉で、すでに香澄がトイレかどこかで吐いた後だったことに涼と拓人は瞬時に気づいた。
「兄貴、水持ってきて。吐いてるってことは脱水症状になりやすいはず」
(どうして、そんな知識を知ってるんだ)
そう尋ねたい欲はあったものの、香澄の体の方が100倍大事なので、涼は素直にコップに水道水を入れようとした。
「あ、ばか、そこに浄水器があるでしょう!?」
拓人の小姑のようなツッコミのおかげで、香澄に浄水したばかりの水を飲ませることができたことに、ほんの少しのイライラはありながらも、感謝も覚えた。
(後で日本の名水、香澄のために大量に取り寄せておくか)
そう考えながら、香澄が自分がコップに入れた水を飲み干すのを、緊張の面持ちで涼は待った。跪いた状態で。
(僕が持ってきた水を、おいしそうに飲んでくれる……嬉しい……)
恋ボケした涼の、嬉しさのハードルの高さは、もしかすると幼児用の椅子よりも低いのかもしれない。しかも涼は、水が香澄の濡れた唇を見ながら
(もう1度香澄とキスがしたい……)
などという邪な考えも、ほんのちょっぴり抱いてしまっていた。
そんな涼に気づいたのか気づいてないのか、このタイミングで拓人は咳払いをした。
「ねえ、香澄。さっきこいつを呼び止めたけど、台所に入れたらまずかったかしら?こんなやつ」
いちいち一言以上多い……と涼は拓人を軽く睨みつけた後で、今度は本気で心配そうな顔で香澄を見た。
「それとも僕に、何かしてほしいことがあるのかな?」
「あ、その……」
香澄は、再び目を伏せて口をモゴモゴさせている。
「……香澄?」
「あの、ですね……」
「うん」
たった数文字の中身のない会話なのに、涼は楽しいと思っている。
これもまた、恋ボケのなせる魔法なのだろう。
「もう少し……ここにいてもらえませんか?」
この香澄の言葉を聞き、涼が舞い上がらないはずはなかった。
昨日はあんなに避けられていたのに。
「もちろんだよ」
涼がそう言うのと同時だった。
拓人がこう尋ねたのは。
「あんた、まさかエプロン姿の執事を見てネタ考えたいからとか言わないでしょうね」
(え?)
「あ…………はい…………エプロン姿の執事って……そそられるじゃないですか……じっくり観察したくて…………」
「香澄、ペンと紙いる?持ってきましょうか?」
「あ、ぜひ」
それから15分ほど、香澄と拓人はそれぞれエプロン執事姿の涼に創作のための様々なリクエストを次々に要求し続けた。
こうして香澄と、不本意ではあるが拓人との一つ屋根生活が始まった涼だったが、それから気が抜けない日々が続くことになった。
理由の1つ目が、まさにこの香澄のつわりの酷さだった。