二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
香澄の父親と祖母用のご飯の準備は、涼の役目になった。
毎日同じ時間、同じ内容のものを供える。
これが香澄の毎日のルーチンだったことを、涼も拓人経由で知った。
香澄は、これだけはやらなきゃ、とフラフラな体に鞭打って立ち上がっていたが、とても香澄は台所に立たせられる状態じゃなかった。
ちょっと食べ物の匂いを嗅ぐだけで、トイレに駆け込む状態だったから。
初めて作ったそれを拓人が見たときは
「流石に香澄の父親とお祖母様が気の毒だわ」
と本気で呆れられたが、香澄は
「…………ありがとうございます、父親も祖母も喜んでると思います」
微かな笑みを浮かべて言ってくれたので、指先に作った軽い火傷も報われた気がした。
一方の香澄は、数時間に1度、死にそうな顔でトイレに向かう。
それだけならまだいいが、下手をすると階段で座り込んで動けなくなっている時も多い。
涼はその度に手を差し伸ばす。でも香澄は涼を拒絶する。
「恥ずかしいから」という理由だけで。
最初の土日はその繰り返しだけで終わった。
その二日間だけでも、香澄はどんどんやつれてしまった。
だから涼は怯えた。
自分の子供を宿したせいで、香澄が死ぬことになったらどうしようかと。
他人に興味がなかった涼が。
誰かの通夜や葬式に出席しても「人は死ぬもの」と淡々と考えていた涼が。
愛する人の死の可能性を考えて、次の日が来るのが怖くなった。
(もう、このままにはしておけない)
拓人にも相談はしていないが、拓人の表情からも「このままだと良くない」と考えていることは分かった。
涼は自分のスケジュール帳を確認した。
次の火曜日の午後であれば1回オフィスを抜けて香澄の家に戻れることが分かった。
(この日に香澄を病院に連れて行こう)
それにまだ、母子手帳貰っていない。
これからに必要なことは自分が一緒にやって済ませよう。
そうすれば、香澄も自分を頼ってくれると、まだ涼は希望を探した。
でも、そんな希望は香澄には届かない。
香澄は火曜日ではなく、月曜日に病院に行ってしまったのだから。たった一人で。その時偶然自宅に戻っていた拓人にすら一言も言わずに。
それが分かったのは、月曜日の夜に台所で見つけた複数の薬が入った袋を涼と拓人が見つけた時。
薬の中身を香澄が飲んだ形跡は、なかった。
これが、気が抜けない日々の理由の2つ目。
毎日同じ時間、同じ内容のものを供える。
これが香澄の毎日のルーチンだったことを、涼も拓人経由で知った。
香澄は、これだけはやらなきゃ、とフラフラな体に鞭打って立ち上がっていたが、とても香澄は台所に立たせられる状態じゃなかった。
ちょっと食べ物の匂いを嗅ぐだけで、トイレに駆け込む状態だったから。
初めて作ったそれを拓人が見たときは
「流石に香澄の父親とお祖母様が気の毒だわ」
と本気で呆れられたが、香澄は
「…………ありがとうございます、父親も祖母も喜んでると思います」
微かな笑みを浮かべて言ってくれたので、指先に作った軽い火傷も報われた気がした。
一方の香澄は、数時間に1度、死にそうな顔でトイレに向かう。
それだけならまだいいが、下手をすると階段で座り込んで動けなくなっている時も多い。
涼はその度に手を差し伸ばす。でも香澄は涼を拒絶する。
「恥ずかしいから」という理由だけで。
最初の土日はその繰り返しだけで終わった。
その二日間だけでも、香澄はどんどんやつれてしまった。
だから涼は怯えた。
自分の子供を宿したせいで、香澄が死ぬことになったらどうしようかと。
他人に興味がなかった涼が。
誰かの通夜や葬式に出席しても「人は死ぬもの」と淡々と考えていた涼が。
愛する人の死の可能性を考えて、次の日が来るのが怖くなった。
(もう、このままにはしておけない)
拓人にも相談はしていないが、拓人の表情からも「このままだと良くない」と考えていることは分かった。
涼は自分のスケジュール帳を確認した。
次の火曜日の午後であれば1回オフィスを抜けて香澄の家に戻れることが分かった。
(この日に香澄を病院に連れて行こう)
それにまだ、母子手帳貰っていない。
これからに必要なことは自分が一緒にやって済ませよう。
そうすれば、香澄も自分を頼ってくれると、まだ涼は希望を探した。
でも、そんな希望は香澄には届かない。
香澄は火曜日ではなく、月曜日に病院に行ってしまったのだから。たった一人で。その時偶然自宅に戻っていた拓人にすら一言も言わずに。
それが分かったのは、月曜日の夜に台所で見つけた複数の薬が入った袋を涼と拓人が見つけた時。
薬の中身を香澄が飲んだ形跡は、なかった。
これが、気が抜けない日々の理由の2つ目。