二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「私は、人との付き合いとか……よく分かりません。相手が望むような言葉もうまく言えないし、それを考えることがストレスだったんです」
「そうなんだね」

 男性は、香澄の考えを否定しない。

「でも、二次元は違います。本当にうまい作家さんのストーリーは、自分がちゃんとその世界に生きてて、理想の恋愛を私に味わわせてくれる。三次元は、めんどくさい事いっぱい考えないと人は簡単に離れちゃうしやり直しもきかないけど、二次元ではそんなことはない。作品さえ間違えなければ、私は二次元の恋愛を追いかけるだけで、ちゃんと恋愛した気になれたんです」

 酔っているせいか、香澄の言葉はどんどん支離滅裂になっていく。
 それでも、男性が香澄を撫でる手を止めないから、つらつらと出てきてしまう。

「二次元で気持ちよかった恋愛のフレーズやシチュエーションは、分析していけば傾向は似ています。だから、それを材料として、あとはキャラクターに合わせて少しアレンジを加える。そうすれば、確かに私が好きな、二次元のストーリーが多く作ることができたんです。でも……」

 香澄は、グラスに残っていたカクテルを一気に飲み干した。

「それじゃ、ダメだって言われちゃって……体験をちゃんと出せって言われて……そうしないと仕事くれないって言われて…………どうしていいか、分からなくてそれで……」
「それで?」
「三次元のカップル観察に来たんです」

 香澄のぶっとび発言が終わった瞬間、男性は思いっきり吹き出した。
 香澄の話が始まってから最初に現れた、その男性の人間らしさだった。
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