二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
2月14日、11時。
(ここか……)
香澄は、待ち合わせ時間ギリギリで、待ち合わせ場所に指定された場所の入口に来ることができた。
そこは、一等地に建てられた高層ビルの中でも、最上階に近いフロアに設けられた弁護士事務所だった。
他の階は分からないが、エレベーターを降りてすぐに香澄が見た景色は、ゴージャスなオフィスそのものであり、無意識にスマホカメラのシャッターを押していた。
(今書いてる小説の資料に使おう……)
少しでもここに来た意味を、1つずつ拾って持ち帰ろう。
でなければ、まさに文字通り死ぬ思いをしてまでここに来たことがバカみたいだと香澄は考えていた。
(トイレはどこかな……)
香澄は、もしもの時を考えて先にトイレの場所を確認するために、すでにほとんど体力を奪われたフラフラな体に鞭を打ち、フロア内を歩き回った。
結局、香澄は1週間体力回復に努めたものの、一向に体調が戻る気配もなかった。
本当は今日ここに来ることを断るべきだと、前日まで思ってはいた。
だが、母親からの
「来るでしょ?」
「来ないなんてありえないわよ」
「あなたは私の可愛い娘でしょ。ママを助けるのは当然なんだから」
こちらからの返事を待たずに容赦無く送られてくるラインでの攻撃が直前まで続いていた。
(すっぽかしたら、後が面倒だろうな……)
とは言え、電車に乗ってすぐ、そんなことを考えた自分も、自分を今日この体調で電車に乗せた母親も呪いたくなったが。
(今日は本当に朝から悲惨だった……)
家を出る直前だけでなく、電車に乗ってる間何度も吐き気に襲われ、その度にトイレに駆け込むということを繰り返していた。
出ていった水分を補給しようと、自販機で水を買って飲んではいるが、その分出てしまう。何度も繰り返し。
そのため、今こうしてトイレに探している間も、頭がくらくらしている状態。もはや歩けているのが奇跡なのかもしれない。
(もう、チョコレート買いたいとか言ってる場合じゃない……)
香澄は強く誓った。用事が終わったら何が何でも早く帰ってやろうと。
そんなことを考えてすぐ、高級ホテルにでもあるような綺麗なトイレを見つけることができた。
(よかった……)
そんな安心感が、香澄の力を抜けさせた。
香澄はトイレの前の壁に寄りかかったまま、動けなくなってしまった。
(あ、どうしよう)
一歩でも動くと吐きそうだった。
落ち着かせようと、鞄からペットボトルの水を取り出すが、ころりと無情にも転がってしまった。
(しまった……!)
手を伸ばそうとした時だった。
「大丈夫ですか?」
指先が綺麗に整えられている、スーツがとてもよく似合う美女がペットボトルを拾ってくれただけでなく、香澄の倒れそうになった体を支えてくれた。
美女の体から漂う香りが、ふとクリスマスの日を思い出させた。
あの、一夜限りの人の顔が微かに脳内に蘇り、一瞬だけときめきが蘇ったのだけれども、同時に……。
「ご、ごめんなさい……」
その香りが引き金となり、香澄はお礼を言うのもそこそこに、トイレに駆け込む羽目になった。
(ここか……)
香澄は、待ち合わせ時間ギリギリで、待ち合わせ場所に指定された場所の入口に来ることができた。
そこは、一等地に建てられた高層ビルの中でも、最上階に近いフロアに設けられた弁護士事務所だった。
他の階は分からないが、エレベーターを降りてすぐに香澄が見た景色は、ゴージャスなオフィスそのものであり、無意識にスマホカメラのシャッターを押していた。
(今書いてる小説の資料に使おう……)
少しでもここに来た意味を、1つずつ拾って持ち帰ろう。
でなければ、まさに文字通り死ぬ思いをしてまでここに来たことがバカみたいだと香澄は考えていた。
(トイレはどこかな……)
香澄は、もしもの時を考えて先にトイレの場所を確認するために、すでにほとんど体力を奪われたフラフラな体に鞭を打ち、フロア内を歩き回った。
結局、香澄は1週間体力回復に努めたものの、一向に体調が戻る気配もなかった。
本当は今日ここに来ることを断るべきだと、前日まで思ってはいた。
だが、母親からの
「来るでしょ?」
「来ないなんてありえないわよ」
「あなたは私の可愛い娘でしょ。ママを助けるのは当然なんだから」
こちらからの返事を待たずに容赦無く送られてくるラインでの攻撃が直前まで続いていた。
(すっぽかしたら、後が面倒だろうな……)
とは言え、電車に乗ってすぐ、そんなことを考えた自分も、自分を今日この体調で電車に乗せた母親も呪いたくなったが。
(今日は本当に朝から悲惨だった……)
家を出る直前だけでなく、電車に乗ってる間何度も吐き気に襲われ、その度にトイレに駆け込むということを繰り返していた。
出ていった水分を補給しようと、自販機で水を買って飲んではいるが、その分出てしまう。何度も繰り返し。
そのため、今こうしてトイレに探している間も、頭がくらくらしている状態。もはや歩けているのが奇跡なのかもしれない。
(もう、チョコレート買いたいとか言ってる場合じゃない……)
香澄は強く誓った。用事が終わったら何が何でも早く帰ってやろうと。
そんなことを考えてすぐ、高級ホテルにでもあるような綺麗なトイレを見つけることができた。
(よかった……)
そんな安心感が、香澄の力を抜けさせた。
香澄はトイレの前の壁に寄りかかったまま、動けなくなってしまった。
(あ、どうしよう)
一歩でも動くと吐きそうだった。
落ち着かせようと、鞄からペットボトルの水を取り出すが、ころりと無情にも転がってしまった。
(しまった……!)
手を伸ばそうとした時だった。
「大丈夫ですか?」
指先が綺麗に整えられている、スーツがとてもよく似合う美女がペットボトルを拾ってくれただけでなく、香澄の倒れそうになった体を支えてくれた。
美女の体から漂う香りが、ふとクリスマスの日を思い出させた。
あの、一夜限りの人の顔が微かに脳内に蘇り、一瞬だけときめきが蘇ったのだけれども、同時に……。
「ご、ごめんなさい……」
その香りが引き金となり、香澄はお礼を言うのもそこそこに、トイレに駆け込む羽目になった。