二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「開けなさい!兄貴!!」

(やっぱり、聞けば聞くほど先輩の声だ……)

 目の前の歩行者用の信号が点滅している。
 芹沢涼は、完全に無視をすることを決めたのか、香澄と前を交互に見るだけ。

「こら!無視するな!!」

 先輩と同じ声をする人は、今度は香澄に向けて

「香澄ちゃん、私よ!あなたならわかるでしょう?」

 と話しかけた。
 その時、歩行者用信号が赤くなった。

「香澄!降りなさい!家になんか絶対そいつ連れていっちゃだめよ!」
「香澄、1度車走らせるけどいいね」

 双方それぞれから違う指示が出され、香澄はパニックになりそうだった。

(どうしよう)

 考えれば考えるほど、香澄の心臓の鼓動が速くなっていく。
 しかも、さっきからチラチラと歩行者がこっちを見ている気がする。

(嫌だ……!!)

 こっちを見ないで。
 私を見ないで。
 香澄は、自分の体から血の気が引いていくのが分かった。
 
「香澄?」
「香澄ちゃん!?」

 香澄は、2人が自分を呼んでいる声を聞きながら、すうっと意識を失ってしまった……。

→5.予想外な彼の告白 に続く……
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