二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
この時の香澄は
(八島さんが言うことなら間違いないだろう)
と、八島の発言に疑問1つ抱かないようになっていた。
元々八島拓人と言うシナリオライターのファンだったからと言うのもあったが、たった1日、八島に特訓してもらったおかげで自分の課題が一気に解消されたのだ。
これが、香澄の八島への絶対的な信頼の始まり。
2日目の合宿内容は、ひたすら実技。
八島が過去担当した案件を元に、リライトリライト、寝ても覚めてもずーっとリライトの繰り返し。
「じゃあ、このキャラクター性をもっと浮き彫りにするようにリライトして」
「今度は、描写背景がわかるようにして」
「あえて心の描写は一切使わないで」
「今度は心の描写しか使わないで」
そんな風に、全く同じプロットを、違う縛りを設けて書いて書いて書き続ける。
人によっては「もうこれで十分じゃないですか」と嘆きたくなるような鬼課題だったろう。
しかし、香澄は違った。
シチュエーションも、キャラクターも同じでも、ライターの視点が違えば全く違うものができる。
また、視点を変えずにシチュエーションとキャラクターを変えてもまた然り。
文字は、一見すると不自由な表現のように思えた。
しかし、文字の組み立て方と、その裏側にある背景を思えば、文字……文章こそが何よりも自由な表現であると言うことに、香澄はこの合宿を通じて知ることができた。
文字を使って世界を創ることの面白さを知った。
それこそ、誰も見たことがない未知の世界も生み出せる。
かつて幸せだった過去に、もう1度変えることもできる。
理想の自分にもなることができる。
理想の家族を作ることができる。
友達も、恋人も自由自在。
全てが、文字と解釈方法と語彙があれば思いのまま。
その魅力の虜になった。
そのせいだろうか。
合宿の課題は21時まで続き、21〜22時の1時間で反省会が行われた時。
香澄は
「この課題すごく面白かったです」
「もっとファンタジーの世界をリアルに表現できる方法ないですか?」
「専門書とかいくら貢げば先輩のようになりますか?」
など、1時間八島を質問攻めにし、確かに八島も香澄の質問に対して全て丁寧に答えてくれた。
のだが。
「あのね、香澄ちゃん……」
少しの間ができると、八島が何か言いたげに呟き、それから無言になってから
「やっぱり、いいわ……」
と、言おうとすることを止めることを何度か繰り返された。
でも香澄は、ちょっとした違和感の引っ掛かりより、自分の世界の可能性が広がった感動に支配されていたから、そんなことを今まですっかり忘れていた。
これが、8月の合宿で起きた全て。
(八島さんが言うことなら間違いないだろう)
と、八島の発言に疑問1つ抱かないようになっていた。
元々八島拓人と言うシナリオライターのファンだったからと言うのもあったが、たった1日、八島に特訓してもらったおかげで自分の課題が一気に解消されたのだ。
これが、香澄の八島への絶対的な信頼の始まり。
2日目の合宿内容は、ひたすら実技。
八島が過去担当した案件を元に、リライトリライト、寝ても覚めてもずーっとリライトの繰り返し。
「じゃあ、このキャラクター性をもっと浮き彫りにするようにリライトして」
「今度は、描写背景がわかるようにして」
「あえて心の描写は一切使わないで」
「今度は心の描写しか使わないで」
そんな風に、全く同じプロットを、違う縛りを設けて書いて書いて書き続ける。
人によっては「もうこれで十分じゃないですか」と嘆きたくなるような鬼課題だったろう。
しかし、香澄は違った。
シチュエーションも、キャラクターも同じでも、ライターの視点が違えば全く違うものができる。
また、視点を変えずにシチュエーションとキャラクターを変えてもまた然り。
文字は、一見すると不自由な表現のように思えた。
しかし、文字の組み立て方と、その裏側にある背景を思えば、文字……文章こそが何よりも自由な表現であると言うことに、香澄はこの合宿を通じて知ることができた。
文字を使って世界を創ることの面白さを知った。
それこそ、誰も見たことがない未知の世界も生み出せる。
かつて幸せだった過去に、もう1度変えることもできる。
理想の自分にもなることができる。
理想の家族を作ることができる。
友達も、恋人も自由自在。
全てが、文字と解釈方法と語彙があれば思いのまま。
その魅力の虜になった。
そのせいだろうか。
合宿の課題は21時まで続き、21〜22時の1時間で反省会が行われた時。
香澄は
「この課題すごく面白かったです」
「もっとファンタジーの世界をリアルに表現できる方法ないですか?」
「専門書とかいくら貢げば先輩のようになりますか?」
など、1時間八島を質問攻めにし、確かに八島も香澄の質問に対して全て丁寧に答えてくれた。
のだが。
「あのね、香澄ちゃん……」
少しの間ができると、八島が何か言いたげに呟き、それから無言になってから
「やっぱり、いいわ……」
と、言おうとすることを止めることを何度か繰り返された。
でも香澄は、ちょっとした違和感の引っ掛かりより、自分の世界の可能性が広がった感動に支配されていたから、そんなことを今まですっかり忘れていた。
これが、8月の合宿で起きた全て。