二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「そもそも、あんたの仕事の仕方が問題なんじゃないの!?」

(仕事の仕方……?)

「一体どんな案件扱ってるか知らないけど、わざわざ女の子たぶらかして情報を引き出すなんて……女スパイにでもなったつもり!?」

(す、スパイ……!?)

 香澄は少しときめいた。
 シナリオライターをやっているなら、1度は扱ってみたい職業の1つだと、香澄は思っていたから。

「香澄の前で変なこと言わないでくれるかな。僕はただ、欲しい情報を手にするための手法の中で、最も効率が良い方法を選んでるだけなんだ」
「その手法がゲスイって言ってるのよ!!それに家も」

(家にも何かあるのか)

「クライアントの気持ちが分からないからっていう理由で、クライアントの環境に近い家わざわざ借りて……」
「えっ!?」
「仕方がないじゃないか……。お前みたいなボンボンに、俺の気持ちなんかわかるわけない。だからお前に弁護は頼みたくないとか言われたら」

(そ、そんなこと弁護士さんって言われるんだ……)

 香澄は、こっそりスマホにメモを始めようとメモアプリを開いた。
 状況はともかく、涼の弁護士としての話はキャラクター作りの参考になりそうだと思ったから。
 でも……。

「やめなさい香澄」

 八島が香澄のスマホを取り上げた。

「せ、先輩!返してください!」
「香澄、よく聞きなさい。この男の仕事の仕方は、弁護士のキャラクター作りの参考にならないわ」

(……よく……私の考えをお分かりに……さすが私の師匠……)

 それから、八島が香澄に語った涼のエピソードは、香澄を驚かせるものばかり。
 もともと二人の家はちょっとした資産家らしく、そこまでお金に困ってはいないこと。
 涼が弁護士を目指した理由の1つに「スリルを味わいたい」という気持ちがあったこと。
 それから、今香澄が連れてこられた家は、元々は涼の持ち物だったこと。
 場所を選ばず、どこでも仕事ができる八島に

「しばらくの間、貸してあげるから。住まないわけないよね?」

 などと、半ば強制的に家を貸し出した挙句、今涼が取り組んでいるのは「庶民の生活体験」とのこと。
 風呂なし、トイレは共同のアパートを借りて、そこではどんな生活が可能かということを試している……ということらしい。
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