二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「あっ、ああああの……」
「ん?」
「私、そんな目……してるんですか?」
「してるよ」

 そう言うと、涼は香澄の目元を自分の親指でなぞる。

「ほら、今もそう。目はキラキラ輝いてて……それでいて……僕を蕩けさせる目元をしている。僕が欲しいと思った目だよ」

(僕が欲しいと……思った?)

 香澄が、涼の指先の熱を心地いいと感じながら、その言葉の意味を探っていると

「はいストップ」

 八島が自分の元に香澄を引き寄せ、香澄と涼の距離を少し広げた。

「香澄。いい?この男の言葉を本気にしてはダメ」
「え?」
「こいつは、私たちが脳みそ振り絞って創ってる、乙女のためのご褒美セリフを、呼吸をするかのように吐くことができるのよ」
「そ、それはどういう……」

 八島は、キッと涼を睨みつけると

「依頼人の利益のためなら手段は選ばない!目撃証言や少しでも依頼人の利益になる情報を手に入れるためなら、どんな人間をも、言葉でどんどんたらし込むのよ。そして、相手が自分にメロメロになったところで、情報を引き出して、ポイ捨て。それが、この男の常套手段なのよ!」
「本当に人聞き悪いことを言うよね、たっくんは。他の誰にはそのことを言ってくれてもいいけどさ」

 涼は香澄を愛おしげな目で見つめながら

「香澄の前では、流石に隠しておいて欲しかったな」
「いいのよ、どうせバレるんだから」
「たっくんがバラす気だったくせに」
「当たり前じゃない」

(ま、まずい……また二人の世界になっている……)

 このままだと、また二人だけの言い合いになってしまう。
 香澄は、まだ聞いていない、けど気になることを聞こうと

「あ、あのぉ……」

 勇気を出して手を上げた。

「さっき、女性の方がお家に侵入した……とか……?」
「ああ、大丈夫だよ、香澄が僕と住むまでには、ちゃんとセキュリティ完璧な部屋に住むから」
「へっ!?」
「バカ兄貴、香澄が気にしてるのはそこじゃないって言ってるでしょ。香澄は、どうやってあんたの家に女たちが忍び込んだのか、とか……状況とかバックグラウンドが気になってるだけだって、何度言えばわかるのよ」

 「だけ」の部分を力一杯強調した八島に、涼は眉をほんの少し歪ませた。

「大袈裟だな。何度引っ越しをしても、勝手に漏れるんだから仕方がないじゃないか」
「あんたが口説きまくった女たちの熱を甘く見ないことね。ホストに貢いでいたはずの金を注ぎ込んででも、あんたを手に入れたくて探偵やSNSを駆使して情報を集めてるんでしょうし」

(た、探偵!?SNS!?)
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