90日のシンデレラ
***
どこから眠りに落ちたのか、わからない。いつ夢から覚めるのか、それも眠りと同じでわからない。
変わらないのは、ハイパワーエンジンの重低音とクーペの振動。真紘の隣で運転をする瑠樹も、その姿勢は変わらない。
高速道路なんかとっくに下りていて、いまは一般道路を走っているのだが、真紘はぐっすりと眠ったままである。すやすやと、無垢な顔で、無防備に、真紘は眠っていた。
「シーナちゃん、着いたよ~」
真紘の借り上げ社宅近くまで帰ってくれば、彼女を誘いにきたときと同じところが空いていた。迷わずそこに父親の車を停める。
深夜十二時をずいぶん超えてしまっていれば、交通量はぐんと減り、辺りはしんと寝静まっていた。エンジンを切れば、その静寂はもっと存在感を増していく。
「ん、シーナちゃん、まだ寝てるの?」
運転に集中していた瑠樹は、真紘が急に静かになったことには気がついていた。隣で眠りこけていることにも、特に気にはしていない。
それよりも、こう思う。夜景のツリーにあんなにはしゃぐなんて、地方出身であれば、ある意味微笑ましい。
大騒ぎした後にその反動がくるのは当然で、また今日は週末の夜で仕事の疲れもあるから、眠ってしまうのも無理もない。眠る真紘に瑠樹が得たのはそのくらいの感覚である。
エンジンが止まってしまえば大抵の人は目を覚ます。普通なら。
だが、どうだ、このお嬢さん、ぶかぶかの瑠樹のスーツジャケットとブランケットに包まれて、微動だにしない。このシートは自室のベッドといわんばかりに、熟睡している。
クーペを停めて、ふうとひと息つく。そして依然目を覚ましそうにない真紘を認め、瑠樹は拍子抜けしたのだった。
どこから眠りに落ちたのか、わからない。いつ夢から覚めるのか、それも眠りと同じでわからない。
変わらないのは、ハイパワーエンジンの重低音とクーペの振動。真紘の隣で運転をする瑠樹も、その姿勢は変わらない。
高速道路なんかとっくに下りていて、いまは一般道路を走っているのだが、真紘はぐっすりと眠ったままである。すやすやと、無垢な顔で、無防備に、真紘は眠っていた。
「シーナちゃん、着いたよ~」
真紘の借り上げ社宅近くまで帰ってくれば、彼女を誘いにきたときと同じところが空いていた。迷わずそこに父親の車を停める。
深夜十二時をずいぶん超えてしまっていれば、交通量はぐんと減り、辺りはしんと寝静まっていた。エンジンを切れば、その静寂はもっと存在感を増していく。
「ん、シーナちゃん、まだ寝てるの?」
運転に集中していた瑠樹は、真紘が急に静かになったことには気がついていた。隣で眠りこけていることにも、特に気にはしていない。
それよりも、こう思う。夜景のツリーにあんなにはしゃぐなんて、地方出身であれば、ある意味微笑ましい。
大騒ぎした後にその反動がくるのは当然で、また今日は週末の夜で仕事の疲れもあるから、眠ってしまうのも無理もない。眠る真紘に瑠樹が得たのはそのくらいの感覚である。
エンジンが止まってしまえば大抵の人は目を覚ます。普通なら。
だが、どうだ、このお嬢さん、ぶかぶかの瑠樹のスーツジャケットとブランケットに包まれて、微動だにしない。このシートは自室のベッドといわんばかりに、熟睡している。
クーペを停めて、ふうとひと息つく。そして依然目を覚ましそうにない真紘を認め、瑠樹は拍子抜けしたのだった。