90日のシンデレラ
複数の案件を抱える瑠樹としては、あの部屋は極めて使い勝手がよかった。その平和が破られたのは、後輩夫婦に海外赴任が決まったときであった。
そこで、瑠樹は空いてしまう社宅に入りたいと社に申し入れた。だが父である社長が反対した、公私混同するなと。
で、仕方なく、次の住人が入るまで、しぶしぶ瑠樹は自宅まで帰っていたのである。
これが、真紘の借り上げ社宅の前歴である。
瑠樹が真紘の借り上げ社宅の間取りを熟知しているのは、こういった経緯だから。もちろん、そんなこと真紘は知らない。
自分が入りたくてたまらない部屋に、本社へ喧嘩を売るようなレポートを作成した人間が入っている。なんとも、もどかしい。
そして業務改善コンペ部屋にやってきた真紘は、今日も昨日同様カマリの後ろでびくびくしている。
(そんな悪魔をみるような顔で、こっちをみやがって!)
こんなレポートの文面と違いすぎる真紘の態度をみて、ふと瑠樹は思い付いた。
(なんで脅えているのかよくわからないが、あれなら、こちらが強く出ればあの部屋を使うことができそうだな)
(男だったらルームメイトと称して出入りするつもりだったが、女だとそういうわけにはいかない。いかないものなのだが……)
(でもこいつなら、うまく丸め込めそうだ)
役員会のプレゼンが迫っていれば、瑠樹としては一刻一秒と時間を無駄にしたくない。自宅からの長い通勤時間がもったいなくて仕方がない。
その他諸々のプロジェクトの進行を鑑みれば、忙しさは今から二ヶ月がピークだ。真紘の研修は三ヶ月あるので、瑠樹の仕事がキメる前に真紘が社宅退去という事態に陥ることがない。
そこで、瑠樹は空いてしまう社宅に入りたいと社に申し入れた。だが父である社長が反対した、公私混同するなと。
で、仕方なく、次の住人が入るまで、しぶしぶ瑠樹は自宅まで帰っていたのである。
これが、真紘の借り上げ社宅の前歴である。
瑠樹が真紘の借り上げ社宅の間取りを熟知しているのは、こういった経緯だから。もちろん、そんなこと真紘は知らない。
自分が入りたくてたまらない部屋に、本社へ喧嘩を売るようなレポートを作成した人間が入っている。なんとも、もどかしい。
そして業務改善コンペ部屋にやってきた真紘は、今日も昨日同様カマリの後ろでびくびくしている。
(そんな悪魔をみるような顔で、こっちをみやがって!)
こんなレポートの文面と違いすぎる真紘の態度をみて、ふと瑠樹は思い付いた。
(なんで脅えているのかよくわからないが、あれなら、こちらが強く出ればあの部屋を使うことができそうだな)
(男だったらルームメイトと称して出入りするつもりだったが、女だとそういうわけにはいかない。いかないものなのだが……)
(でもこいつなら、うまく丸め込めそうだ)
役員会のプレゼンが迫っていれば、瑠樹としては一刻一秒と時間を無駄にしたくない。自宅からの長い通勤時間がもったいなくて仕方がない。
その他諸々のプロジェクトの進行を鑑みれば、忙しさは今から二ヶ月がピークだ。真紘の研修は三ヶ月あるので、瑠樹の仕事がキメる前に真紘が社宅退去という事態に陥ることがない。