90日のシンデレラ
 メッセージとは何だろう? 
 またもや謎習慣が出てきた。真紘は黙って、ずっと大村と山形のやり取りを見守った。
 おもむろに大村はかわいい色目の大判付箋紙を取り出して、さらさらと書いていく。ちらりとみえたその文面は、礼状である。

 (メッセージ、確かにメッセージだ)
 (伝言メモといえばそうだけど、これって重くなく軽くなく、いい感じかも)

 これはサンキューカードというものなのだろう。いかにも、都会のオフィスっぽい。
 真紘の田舎の孫会社に、そんな習慣はない。長期で席を空ける社員などいないから。また、そこまで親しくなるような組織でもない。

 「お願いします!」
 「はい。確かに。レポートと一緒にお渡しします」
 「じゃあ、これで失礼します! ところで椎名さん、椎名さんはこれから作業?」

 大村の御用が終わってしまうと、今度は話題が真紘へ移された。

 「今日は提出だけです」
 「だけなら、もう帰っちゃう?」
 「はい。買い物して帰ろうかなと」

 土曜日の買い出しは、ボンゴレの材料とその他諸々購入した。しかしたくさん買ったつもりであったが、日曜の昼に確認すれば足りないものがある。瑠樹は海外出張なのだから、今のうちに雑用を済ませておきたいと真紘は考えていた。

 「じゃあ、途中までご一緒してもいいかな?」

 大村とは最寄り駅までの伴となる。特に断る理由もないので、彼女の要望に真紘は応じることにした。


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