90日のシンデレラ
 ***

 ――真紘、いってくるよ。次は木曜日に会おう。

 そういって、瑠樹は海外出張に出ていった。

 ――それまでにレポートを直しておくこと。

 ちゃっかりと業務改善コンペの宿題を残して、彼は旅立った。
 これはそう、俺がいない間、ボーっとすんじゃねーよといわれているようである。

 月曜の夕方に業務改善コンペのレポートを出し、火曜・水曜は郊外にあるプラントへ実地研修にいく。
 この研修は、現地集合・現地解散。ゆえに、まだまだ知らない地名が多い真紘は、またもや悩む。でもその実地研修で、遅刻などせず、またヘマすることなく終わった。こんな具合に無事、研修は終わったのだが、真紘の変な疲労を抱え込んでしまっていた。
 なので水曜の夕方、真紘は自宅に帰ってすぐにバタンキューとなったのである。



 普段よりも早い時間の就寝であったから、その深夜に中途半端な覚醒をしてしまうのはあり得ることで……
 とある違和感を得て、真紘は目が覚めてしまった。部屋は夜の帳が下りたままで、暗い。夜明けまでまだまだ時間があると思わせる闇色だ。
 手を動かせば、枕とシーツの間に挟み込んであるスマートフォンに指が当たる。そっと取り出して時刻を確認する。夜中の一時半であった。
 帰宅した時間を考えると、約五時間ほど意識がなかったらしい。

 (半端だよな、この時刻)
 (起きるには早いし、もう一度眠るには心もとないし)

 そんなことをぼんやり考えている間にも、眠気で手の力が抜けスマートフォンを落としてしまう。重量感のあるそれは、ぽとんとブランケットの上に着地した。
 夢現(ゆめうつつ)であれば、落ちたスマートフォンを真紘は拾い直すこともしない。
 そんな状態のまま、こんなことにもうっすら気がついた。

 昨日よりベッドが窮屈なような……気がする?

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