90日のシンデレラ
「アレ、仮眠用の敷布団。二枚敷けば、いい感じの厚さになるんだ。その上で寝袋を使っていた。即席の寝床だけど結構、熟睡できたなぁ」
「え? シュラフ?」
「シュラフって、寝袋のことだよ」
軽く悩む真紘へ、くすりと笑いながら瑠樹が補足する。登山に縁のなかった真紘にとって、シュラフは知らない単語だ。そして、ボストンバッグと思い込んでいたものは寝袋だった。
あのボストンバッグの正体がわかったのはいいが、なぜ寝袋がここにあったのか?
答えは簡単、間借り生活がはじまったばかりの頃は、まだ瑠樹と真紘はカレシとカノジョではなかったから。
真紘は真紘で瑠樹の夜の訪問を警戒していたのだが、瑠樹は瑠樹で真紘に害のない仮眠場所を設定していたのだとわかる。
この部屋の家具は、必要最低限のレンタル品である。あとからやってきた瑠樹のベッドなど、当然ない。それを見越して、瑠樹はヨガマットとシュラフの事前搬入したのだった。
こんな仮眠の実態を知れば、あんなに傍若無人にこの部屋へ踏み込んできた瑠樹のことを見直してしまう。真紘のプライベートのことを、陰でこんなに気を使っていたとは。
最初の訪問エレベーターボックス内でのことが強烈すぎて真紘はただただ瑠樹のことを戦々恐々としていた。だが、本当の瑠樹はこんなにもデリケートだったのである。
そして今、そのヨガマットとシュラフはない。言わずもがな、もう瑠樹は真紘と同じベッドで眠っているから。
『今から俺はシーナちゃんのカレシ、シーナちゃんは俺のカノジョ』――そういった日から、真紘の気がつかないうちに瑠樹は不要物を運び出していたのだった。
「え? シュラフ?」
「シュラフって、寝袋のことだよ」
軽く悩む真紘へ、くすりと笑いながら瑠樹が補足する。登山に縁のなかった真紘にとって、シュラフは知らない単語だ。そして、ボストンバッグと思い込んでいたものは寝袋だった。
あのボストンバッグの正体がわかったのはいいが、なぜ寝袋がここにあったのか?
答えは簡単、間借り生活がはじまったばかりの頃は、まだ瑠樹と真紘はカレシとカノジョではなかったから。
真紘は真紘で瑠樹の夜の訪問を警戒していたのだが、瑠樹は瑠樹で真紘に害のない仮眠場所を設定していたのだとわかる。
この部屋の家具は、必要最低限のレンタル品である。あとからやってきた瑠樹のベッドなど、当然ない。それを見越して、瑠樹はヨガマットとシュラフの事前搬入したのだった。
こんな仮眠の実態を知れば、あんなに傍若無人にこの部屋へ踏み込んできた瑠樹のことを見直してしまう。真紘のプライベートのことを、陰でこんなに気を使っていたとは。
最初の訪問エレベーターボックス内でのことが強烈すぎて真紘はただただ瑠樹のことを戦々恐々としていた。だが、本当の瑠樹はこんなにもデリケートだったのである。
そして今、そのヨガマットとシュラフはない。言わずもがな、もう瑠樹は真紘と同じベッドで眠っているから。
『今から俺はシーナちゃんのカレシ、シーナちゃんは俺のカノジョ』――そういった日から、真紘の気がつかないうちに瑠樹は不要物を運び出していたのだった。