90日のシンデレラ
入室登録も簡単であれば、登録解除もあっさりしたものなんだなと真紘は思う。
あらためてコンペ室を見渡してみれば、ほんのりとノスタルジアを得る。二ヶ月少しの利用だったけど、田舎の社では絶対にできない体験をした。本社社員を差し置いて特別にここへ入室できたことは、孫会社社員の真紘にとって少し優越感を感じる出来事だった。
(もうこの部屋を出れば、ただの人だけど……)
(今からは本来の目的、企画開発に集中よ!)
業務改善コンペは四次選考まできたし、瑠樹の秘密の指導もあるし、うまくいけば……なんてことも期待した。
でも、ここは本社である。真紘よりも優秀な社員がたくさんいる。ここまでくれば上等だと思う。田舎の社に対しても、この結果は恥ずかしいことはない。
「これからは、企画開発研修だけになりますね。そちらも大詰めですね」
「はい。まとめの段階に入りました。恥ずかしい話ですが、学生時代の論文作成の気分でドキドキしています」
「社内のイベントだから、そこまで肩ひじ張らなくてもいいわよ」
優しくマダム山形がそう激励する。こうやって彼女は今までの落選者に寄り添っていたんだなと思う。素敵な女性先輩である。
「北峰さんに伝言があれば、お預かりします。ここには明後日の午後に入りますので、ちょっと遅めにはなりますが」
「!」
そういえば、大村女史が大判付箋紙にメッセージを書いていた。これは個人的な謝辞なので、レポート課題のようにスキャニングしてすぐに送るなんてことはしないともわかる。
あらためてコンペ室を見渡してみれば、ほんのりとノスタルジアを得る。二ヶ月少しの利用だったけど、田舎の社では絶対にできない体験をした。本社社員を差し置いて特別にここへ入室できたことは、孫会社社員の真紘にとって少し優越感を感じる出来事だった。
(もうこの部屋を出れば、ただの人だけど……)
(今からは本来の目的、企画開発に集中よ!)
業務改善コンペは四次選考まできたし、瑠樹の秘密の指導もあるし、うまくいけば……なんてことも期待した。
でも、ここは本社である。真紘よりも優秀な社員がたくさんいる。ここまでくれば上等だと思う。田舎の社に対しても、この結果は恥ずかしいことはない。
「これからは、企画開発研修だけになりますね。そちらも大詰めですね」
「はい。まとめの段階に入りました。恥ずかしい話ですが、学生時代の論文作成の気分でドキドキしています」
「社内のイベントだから、そこまで肩ひじ張らなくてもいいわよ」
優しくマダム山形がそう激励する。こうやって彼女は今までの落選者に寄り添っていたんだなと思う。素敵な女性先輩である。
「北峰さんに伝言があれば、お預かりします。ここには明後日の午後に入りますので、ちょっと遅めにはなりますが」
「!」
そういえば、大村女史が大判付箋紙にメッセージを書いていた。これは個人的な謝辞なので、レポート課題のようにスキャニングしてすぐに送るなんてことはしないともわかる。