90日のシンデレラ
しばらく駐車場の車中でブルーになっていたが、悩んでも事態が変わるわけではない。悩んで物事が好転するのなら、大いに悩むし、何なら大声出して泣いてもいい。
「…………」
時間の経過とともに、頭が冷静になってくる。
今できることは何もないのだ。耳打ちしてくれた同僚だって、不確定情報だといっていたし。
はぁ~と、またため息をついて、真紘は帰宅した。
翌日、自分の疑念のほどを確かめるべく、真紘は用件があった際に課長のデスクをよく観察した。
思っていた通り、真紘の提案書がある。いくつもの書面の下敷きになっていて、明らかに数日間放置されているともわかる。
(やっぱりあれは、パフォーマンスだったか!)
(そうよね~、業務過程を抜本的に変えるなんて、それこそ一大プロジェクトで手間のかかるものだもん。絶対にしないわよね~)
(本社だったら……)
比べてはいけないと思いながらも、真紘は考えてしまう。ひと手間かけることで後の作業が楽になるのなら、大いに歓迎されることだろう、本社なら。
けれど、ここでは期待してはいけないと思う。期待できる社であれば、主任は辞めたりしない。
その後、やはり提案書については何もなしで、水の泡に消えたと確信する。
それとは別に業務担当の再編が行われて、真紘の担当領域が増えた。主任が消えて、でも社員数は減ったままなので、全員が主任の業務を分担することになったのである。そして、相変わらずあの課長が冴えない采配を振る。
本日も要領の悪い指示をもらってぐったりし、すっかりくたびれて退社しようとしたときだった。疲労の原因である課長から、こう告げられる。
「まだ非公式なんだけど、椎名さんには新しい仕事を担当してもらう予定だから」
「新しい仕事、ですか?」
「そうそう。課長補佐って形で協力してもらいたいんだ。よろしく頼むよ」
課長補佐という単語で、いま真紘の目に映る世界から色が消えたのだった。
「…………」
時間の経過とともに、頭が冷静になってくる。
今できることは何もないのだ。耳打ちしてくれた同僚だって、不確定情報だといっていたし。
はぁ~と、またため息をついて、真紘は帰宅した。
翌日、自分の疑念のほどを確かめるべく、真紘は用件があった際に課長のデスクをよく観察した。
思っていた通り、真紘の提案書がある。いくつもの書面の下敷きになっていて、明らかに数日間放置されているともわかる。
(やっぱりあれは、パフォーマンスだったか!)
(そうよね~、業務過程を抜本的に変えるなんて、それこそ一大プロジェクトで手間のかかるものだもん。絶対にしないわよね~)
(本社だったら……)
比べてはいけないと思いながらも、真紘は考えてしまう。ひと手間かけることで後の作業が楽になるのなら、大いに歓迎されることだろう、本社なら。
けれど、ここでは期待してはいけないと思う。期待できる社であれば、主任は辞めたりしない。
その後、やはり提案書については何もなしで、水の泡に消えたと確信する。
それとは別に業務担当の再編が行われて、真紘の担当領域が増えた。主任が消えて、でも社員数は減ったままなので、全員が主任の業務を分担することになったのである。そして、相変わらずあの課長が冴えない采配を振る。
本日も要領の悪い指示をもらってぐったりし、すっかりくたびれて退社しようとしたときだった。疲労の原因である課長から、こう告げられる。
「まだ非公式なんだけど、椎名さんには新しい仕事を担当してもらう予定だから」
「新しい仕事、ですか?」
「そうそう。課長補佐って形で協力してもらいたいんだ。よろしく頼むよ」
課長補佐という単語で、いま真紘の目に映る世界から色が消えたのだった。