Restart〜二度目の恋もきみと
私は竜海さんから視線を反らすと
涙を堪えながらテーブルの上に
コーヒーカップを並べていく。

「桜良、久しぶりだね」

竜海さんの優しい声が降ってきて
私は思わず顔を上げた。

竜海さんの柔らかな表情に
私はすぐにでも抱きつきたい気持ちが
湧き上がる。

「お久しぶりです」

震えそうになる声をおさえて
なんとか絞り出した。

「仕事はどう?」

「仕事はまだまだ沢山覚えることはありますが皆さんとても優しくて助かってます」

「そうか。それなら良かった。」

竜海さんの優しい眼差しに
涙が零れそうになって
私は「あ、ありがとうございます。それでは失礼しました」と
立ち上がると逃げるように応接室を出た。


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