Restart〜二度目の恋もきみと
Side竜海

俺が桜良の出ていった
ドアを見つめていると
「あ〜あ、逃げられちゃったね?
折角、桜良ちゃんに会いに来たのにね」
黒木が残念と言ったように
ソファーにふんぞり返った。


「誰が会いに来たって?
仕事の話をしに来たんだろ。」

俺は動揺を誤魔化すように
コーヒーを一口飲んだ。

「わざわざ専務様直々に?」

黒木は茶化すように言った。

「何が言いたいんだ?」

俺がギロリと睨むと黒木はニヤつきながら「いや、別にぃ」と
明らかに冷やかしにかかっているような口ぶりだ。

昔からそういった感の鋭い黒木のことだ。
俺の心情なんて手にとるように分かっているのだろう...

何もかもお見通しだというような目で
見てくる黒木に俺は居心地が悪くて
珈琲だけがすすむ。


「あんなに桜良ちゃん相手だと
優しい顔になるのになんで別れたわけ?」

だんまりを決め込んで、
ひたすら珈琲をすする俺に
「答える気はないってわけか」
黒木ははあっと溜息をついた。
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