リボンと猫耳と魔法使い
ドロリとした蜜のような熱を目に込めながら、ハリーはエリーの頭にキスを落とす。いきなり自分の頭に猫耳と尻尾が生えてしまったエリーは耐えられず泣いてしまう。

「ううっ……戻してください……!こんな姿じゃ、仕事できません……!」

「仕事?しなくていいよ。パンが作りたかったら、この家にあるキッチンで作ってよ。僕とエリーの分。エリーのおいしいパンは僕だけが知ってればいいから」

涙をペロリと舐められ、初めての感触にエリーは悲鳴を上げて逃げようとするものの、体はガッチリとハリーの両腕に捕えられている。

「永遠に君は僕のものだよ」

妖艶に微笑み、ハリーの顔が近付いてくる。もう一度キスをされるとエリーが身構えた刹那、遠くで小鳥の囀りが聞こえた。



「ハッ!」

エリーが飛び起きると、着ている服はロリータワンピースではなく、ゆったりとしたパジャマだった。部屋も広々としておらず狭く、天蓋付きのベッドなどもない。そのことにエリーは安堵し、息を吐く。

「夢でよかった〜……」
< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop