春の花咲く月夜には
日曜昼間のファミレスは、予想していたよりも空いていた。

時刻が14時を少し過ぎているから、ランチ客がちょうど帰った頃かもしれない。

店員さんに、「こちらにどうぞ~」と私が案内されたのは、窓際にある4人掛けのボックス席だった。

1人で座ると贅沢で、広々として気持ちいい。


(・・・なににしようかな・・・)


メニューを広げて、全てに軽く目を通す。

けれど結局、サラダとドリンクが付いた休日限定パスタランチと、普通サイズのメロンパフェを頼むことにした。

呼び鈴のボタンを押して、やってきた店員さんに注文すると、「デザートは食後でよろしいですか?」と確認されたので、私は「はい」と頷いた。

セットのドリンクも、一緒に食後にお願いしておく。

「かしこまりました~。少々お待ちください」

ペコッときれいなお辞儀をし、店員さんが席を離れた。

私はお水を飲んでひと息ついて、カバンからスマホを取り出すと、一通り、メールのチェックなどをした。

そしてその後は・・・、賀上くんとのメッセージのトーク画面を表示する。

「・・・」


(・・・やっぱり、かっこいいな・・・)


昨日、彼が送ってくれた写真を見ながら思ってしまう。

スタジオで、バンドメンバーと一緒に映っている写真。

傍から見たら、この感想はただのノロケなのだと思うけど、私にとっては、少し悩ましいことでもあった。


(・・・贅沢なのは、もちろんわかっているけれど・・・)


かっこよくて優しくて、ギターも弾ける年下の彼。

そんな彼の元カノは、とても素敵な人らしい。

ーーー賀上くんに、葉月さんのことを聞いてみようか。

このまま何も聞かずにいたら、私はきっと、想像上の葉月さんに劣等感を抱き続ける。


(・・・でも、賀上くんに直接聞いて、本当に・・・、『実はまだ忘れられない』とか言われてしまったら・・・)


考えると、それはとても怖かった。
 
賀上くんのことだから、直接的な言葉では言わないような気がするけれど、明らかに動揺していたら・・・、私はきっと、冷静ではいられないだろう。
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