春の花咲く月夜には
(・・・それならいっそ、聞かない方がいいのかな・・・)


いずれにしても、賀上くんはライブを間近に控えているし、私もすぐに聞ける勇気はないし、どうするべきか・・・、少し考えてみようと思う。

そうこうしているうちに、サラダとパスタがテーブルに届けられたので、ひとまず私は、お腹を満たすことにした。


(・・・いただきます)


葉月さんのことを考えないで済むように、私は、ひたすらサラダとパスタを口へと運ぶ。

けれど、どうしても気持ちが落ち着かなくて、あまり味が感じられない。

お皿はなんとか両方空にはしたけれど、お腹もココロも、満たされないままでいた。


(・・・あとは、デザートか・・・)


せっかく頼んだパフェだけど、美味しく食べられるかな・・・と思っていると、テーブルに置いていたスマホが何かを知らせるように音を出す。

手を伸ばし、スマホの画面を見てみると、賀上くんから電話の着信。

私はとても驚いて、慌てて画面をタップする。

「っ、はいっ」

「心春さん。今、どこにいますか」

急いでいるような声だった。

電話なんて、急にどうしたんだろう。

戸惑いながら、私はひとまず返事する。

「あ、えっと・・・、前、賀上くんと一緒に来たファミレスにいるけれど・・・」

「ああ・・・、わかりました。すぐに行くんで。そこから動かないでもらっていいですか」

「?、うん」

頷くと、すぐに電話は切れた。


(・・・どうしたんだろう・・・)


明らかに、いつもと様子が違ってた。

何か・・・急な用でもあるのだろうか。

今の時間は、スタジオで練習中のはずだけど・・・。


(・・・まさか)


葉月さんのことを考えて、ちょうど悩んでいたタイミング。

亜莉沙ちゃんが言っていた通りに本当に・・・、別れ話でもされてしまうのではないのかと、一気に不安に襲われた。


(で、でも、こんなに急に・・・・・・)


賀上くんは、わりと慎重なタイプだと思う。

だから、いきなり・・・前触れもなくそんな話はしないはず、と、必死に自分に言い聞かせてみる。

けれど、一度感じた不安はそう簡単には消えてくれない。
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