春の花咲く月夜には
翌日。
週末に、「T's Rocket」のライブを控えた月曜日。
仕事の合間、自販機で飲み物を選んでいると、後ろから「心春~」と声をかけられた。
振り向くと、紗也華が「よっ」と私に向かって右手を上げた。
「紗也華。おつかれさま」
「おつかれー。ね、早速だけど、これ、さっき賀上くんからもらったの」
そう言うと、紗也華は土曜日のライブチケットをひらりと掲げる。
私は「えっ」と驚いた。
「賀上くんから?」
「そ。ヤツはバンドマンでもあったんだね~。言われてみたら、そういう雰囲気あったけど」
「うんうん」と、紗也華はひとりで納得するように頷いた。
紗也華には、賀上くんのことを色々相談していたけれど、彼はバンド活動について「会社では内緒にしてほしい」と言っていたから、そこには触れずにいたのだけれど・・・。
「あ、『2人だけの秘密だったのに~!』とか思ってる?」
「そ、そうじゃなくて」
「ふふ。まあ驚くわな。賀上くんも悩んだ末に私に言ってきた感じがしたからね。多分、私に内緒にしたままだと心春が窮屈だろうって考えたんじゃないのかなあ。あー・・・、そうそう、『ライブに行く時、心春さん一人だと寂しいと思うんで』的なことも言ってたわ。アラサーの先輩相手に過保護だねえ」
ニヤニヤと、紗也華が笑った。
私は途端に恥ずかしくなる。
(・・・でも・・・、きっと、その両方かもしれない)
これからずっと、賀上くんのバンド活動を紗也華に内緒にすることは、やっぱり私は気を遣うだろうと思うから。
私が楽でいられるように、彼は紗也華に話してくれたんだ。
それに・・・。
きっと、亜莉沙ちゃんのこと。
賀上くんは、亜莉沙ちゃんが変わらなければライブは出禁にすると言っていたけど、そうならないで済むように話をするって言ってたし、いずれにしても、今度のライブは来るだろう。
その時私が一人でいたら、心細いだろうと考えて、紗也華も誘ってくれた気がする。
正直とても心強いし、紗也華と一緒にライブに行けるのは楽しみだ。
週末に、「T's Rocket」のライブを控えた月曜日。
仕事の合間、自販機で飲み物を選んでいると、後ろから「心春~」と声をかけられた。
振り向くと、紗也華が「よっ」と私に向かって右手を上げた。
「紗也華。おつかれさま」
「おつかれー。ね、早速だけど、これ、さっき賀上くんからもらったの」
そう言うと、紗也華は土曜日のライブチケットをひらりと掲げる。
私は「えっ」と驚いた。
「賀上くんから?」
「そ。ヤツはバンドマンでもあったんだね~。言われてみたら、そういう雰囲気あったけど」
「うんうん」と、紗也華はひとりで納得するように頷いた。
紗也華には、賀上くんのことを色々相談していたけれど、彼はバンド活動について「会社では内緒にしてほしい」と言っていたから、そこには触れずにいたのだけれど・・・。
「あ、『2人だけの秘密だったのに~!』とか思ってる?」
「そ、そうじゃなくて」
「ふふ。まあ驚くわな。賀上くんも悩んだ末に私に言ってきた感じがしたからね。多分、私に内緒にしたままだと心春が窮屈だろうって考えたんじゃないのかなあ。あー・・・、そうそう、『ライブに行く時、心春さん一人だと寂しいと思うんで』的なことも言ってたわ。アラサーの先輩相手に過保護だねえ」
ニヤニヤと、紗也華が笑った。
私は途端に恥ずかしくなる。
(・・・でも・・・、きっと、その両方かもしれない)
これからずっと、賀上くんのバンド活動を紗也華に内緒にすることは、やっぱり私は気を遣うだろうと思うから。
私が楽でいられるように、彼は紗也華に話してくれたんだ。
それに・・・。
きっと、亜莉沙ちゃんのこと。
賀上くんは、亜莉沙ちゃんが変わらなければライブは出禁にすると言っていたけど、そうならないで済むように話をするって言ってたし、いずれにしても、今度のライブは来るだろう。
その時私が一人でいたら、心細いだろうと考えて、紗也華も誘ってくれた気がする。
正直とても心強いし、紗也華と一緒にライブに行けるのは楽しみだ。