春の花咲く月夜には
(『LIVE HOUSE R』・・・、あそこでいいんだよね)


楽しみにしていたライブの日。

土曜日、18時35分。

「椿が丘駅」から、地図アプリを見ながら歩いていくこと約6分。

私は、「LIVE HOUSE R」と書かれた看板の、数メートル手前に立っていた。

看板には、斜め下・・・地下一階を示す矢印が。

そして、その階段の周囲には、明らかにライブに来たであろう女の子たちが数人集まって話をしている。

みんな若くてかわいくて、高校生か・・・大学生くらいに見える。


(どうしよう。客層とかあんまり考えていなかったけど・・・、これは絶対、若いファンが多そうだよね・・・)


そういえば、私は「ライブハウス」というものが初めてだった。

学生時代、「×3BLACK(スリーブラック)」のコンサートには何度も行った記憶があるけど、もっと大きな会場で、今日のような小さな場所は初めてだ。


(・・・まずい・・・、これは、私ひとりで浮くかもしれない・・・)


彼が所属する、バンドのファンの子たちだろうか。

それとも、対バンで他のバンドも2組出演するようだから、そちらのファンの子たちだろうか。


(中に入れば、もっと・・・私ぐらいの年の人とか、もっと上の人もいるかもしれないけど・・・)


ちょっと尻込みしてしまう。

ライブということで、一応、黒いカットソーにデニムというカジュアルな格好はしてきたけれど、メイクのせいか年齢的なものなのか、それとも性格的なものなのか・・・、私から漂うOL感は拭えない。


(・・・ま、まあ、今更言っても仕方ないしね!)


そろそろ時間、と思ったのか、ファンであろう女の子たちが地下へと続く階段を順番に下っていった。

私も緊張しつつも覚悟を決めて、ひと呼吸おいてから後を続いた。



地下に着くと、ステッカーがやたらと貼られた扉がすぐに現れて、ドキドキしながら引き戸を開いた。

途端、ざわざわとした、楽しそうな熱気に包まれる。
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