春の花咲く月夜には
「・・・そうかな」

「うん、絶対!」

「・・・そっか。心春さんの『絶対』なら間違いねーな」

「うん!」

咲也が笑って、私も笑って頷いた。

世の中に、絶対なんてないっていうけど、これは絶対だって信じたい。

「・・・心春さん」

「ん?」

「さっき・・・・・・、もしかして、ちょっとヤキモチ焼いた?前の曲、誰のために作ったかって」

「!」

咲也には、私の思考が全てお見通しのようだった。

ドキリとなった私の頬に、彼は笑ってキスをする。

「相変わらずかわいいな」

「・・・」

咲也はどうも、私のヤキモチが好きらしい。

悔しいような・・・なんとも言えない、複雑な気持ちになる私。

咲也はそこで足を止め、うつむいた私の頬に優しく触れた。

見上げると、甘い瞳と目が合って、彼は私にキスをした。

「・・・だけどもう、これからは・・・、心春さんのためにしか作らないから」

「えっ・・・」

彼の曲。

これからは、私のためだけに作ってくれるーーー・・・。

震えるような彼の言葉に、私の胸が高鳴った。

嬉しくて、とてもドキドキする予告。

咲也をじっと見つめると、彼は、何かに気づいたようにハッとする。

「・・・いや、けど、次いつになるか・・・、そもそも作れるかもわからないな・・・」

しまった・・・、という表情で、彼はクシャッと髪を掻き上げた。

私は笑って、彼にぎゅっと抱きついた。

「いいの。そう思ってくれてることがすごく嬉しい」

ーーーだって。

私にはもう、素敵な曲が贈られている。

もちろん、また曲を作ってくれたら嬉しいけれど、私は、私に贈ってくれたあの曲を、ずっと大切にしようと思うから。

「・・・っ」

咲也が私を抱きしめた。

強く。離さないって、伝えるように。

「・・・・・・、すげぇ短い曲ならなんとかがんばる」

「ほんと?じゃあ・・・、楽しみに待ってるね」

ーーーどんな曲が出来上がるかな。

きっとまた、私は好きって思うんだろうな。

楽しみな気持ちと嬉しさと、ありがとうって気持ちを込めて。

私は、背伸びをして彼にキスをした。



月の光が、私と彼を優しく包む。

私たちを、ずっと見守っているように。







☆     ☆     END     ☆     ☆


最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!!












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