春の花咲く月夜には
(・・・そういえば、うちの課でもそんな話題が出ていたような、出ていなかったような・・・)


本当に、私は元村先生以外の男性に対する興味がかなり薄いのかもしれない。

こんな調子だから奈緒に心配かけてしまうんだ・・・、と、我が妹の言動に不本意ながら納得をする。


(・・・まあ、それはひとまずおいといて・・・)


いずれにしても、普通にしてても彼は目立つし、中途採用で先月入ったばかりの新人さんだし、色々な意味で注目されやすいことは確かだと思う。

けれど本来、目立ちたがり屋ではなさそうだから、「イケメンだ!」って女の子たちに騒がれるのも、嬉しいわけではないのかも。


(・・・とりあえず、賀上くんがバンドをやっていることは、言わないようにしなくては)


確実に、ファンは増えるだろうと思うけど。

彼の仕事とプライベートの境界が曖昧になってしまうだろうし、余計な気苦労も増えていくだろう。

私が好きになったあの曲は、沢山の人に聞いてもらいたいと思うけど・・・。

内緒にするって約束したし、ちゃんと秘密にしなければ。

私は、彼から受け取った名刺を裏側にして、そっとスマホのケースの中にしまった。









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