春の花咲く月夜には
そこから、私が降りる駅ーーー「梅の山駅」に到着するまで、賀上くんと会話はほとんどしなかった。
なにを話せばいいのかわからなかったし、彼も彼で、落ち着かないような雰囲気で、話す言葉が見つからないでいるようだった。
「梅の山駅」に到着すると、私たちは一瞬だけ顔を見合わせて、そしてすぐ、お互いに視線を逸らしてホームに降りた。
いわゆるベッドタウンの駅なので、沢山の人が一緒に降車する。
いつも見慣れた駅なのに、景色が違うような気がした。
それは、賀上くんと2人で降りたからだって、もちろんわかっているけれど。
「あの・・・、送ってくれてありがとう。それに、今日はごちそうさまでした」
ホームから改札に向かって歩きつつ、無言が苦しくなった私は、右斜め上の賀上くんを見ながらそう言った。
そのままずっと、彼を見ていることはできないために、視線はすぐ、前方へと戻したけれど。
「・・・いえ。オレが勝手に送るって言っただけなので。・・・ていうかすいません。また強引でしたよね。最初家まで送るとか・・・、ストーカーかっていう」
「え!?ううん、そんな感じには受け取らなかったけど」
「・・・いや・・・、ちょっと反省してます。冷静になると、色々強引だったよなって」
「・・・」
(そうだな・・・、確かに強引なところはあるけれど、なんだろう・・・、賀上くんの強引さって、あんまり嫌じゃないかもしれない)
改めて、思い返すと不思議だった。
最初に出会った時からそうだと思う。
コーヒー代を勝手に払ってくれてたり、治療費の代わりにライブチケットを手渡されたり、さっき先生と会った時には、有無を言わさぬ勢いで駅へと連れて行かれたけれど・・・。
・・・なんだろう。なぜか嫌じゃない。
もちろん、私はすごく戸惑うけれど、それでもなぜか、嫌じゃなかった。
「・・・あ、じゃあ・・・、ここで」
いつの間にか目の前に改札口が迫っていたので、立ち止まり、私は改めて彼に言う。
「本当に今日はどうもありがとう。ごはんもすごく美味しくて・・・、マサさんにもお礼伝えてね」
なにを話せばいいのかわからなかったし、彼も彼で、落ち着かないような雰囲気で、話す言葉が見つからないでいるようだった。
「梅の山駅」に到着すると、私たちは一瞬だけ顔を見合わせて、そしてすぐ、お互いに視線を逸らしてホームに降りた。
いわゆるベッドタウンの駅なので、沢山の人が一緒に降車する。
いつも見慣れた駅なのに、景色が違うような気がした。
それは、賀上くんと2人で降りたからだって、もちろんわかっているけれど。
「あの・・・、送ってくれてありがとう。それに、今日はごちそうさまでした」
ホームから改札に向かって歩きつつ、無言が苦しくなった私は、右斜め上の賀上くんを見ながらそう言った。
そのままずっと、彼を見ていることはできないために、視線はすぐ、前方へと戻したけれど。
「・・・いえ。オレが勝手に送るって言っただけなので。・・・ていうかすいません。また強引でしたよね。最初家まで送るとか・・・、ストーカーかっていう」
「え!?ううん、そんな感じには受け取らなかったけど」
「・・・いや・・・、ちょっと反省してます。冷静になると、色々強引だったよなって」
「・・・」
(そうだな・・・、確かに強引なところはあるけれど、なんだろう・・・、賀上くんの強引さって、あんまり嫌じゃないかもしれない)
改めて、思い返すと不思議だった。
最初に出会った時からそうだと思う。
コーヒー代を勝手に払ってくれてたり、治療費の代わりにライブチケットを手渡されたり、さっき先生と会った時には、有無を言わさぬ勢いで駅へと連れて行かれたけれど・・・。
・・・なんだろう。なぜか嫌じゃない。
もちろん、私はすごく戸惑うけれど、それでもなぜか、嫌じゃなかった。
「・・・あ、じゃあ・・・、ここで」
いつの間にか目の前に改札口が迫っていたので、立ち止まり、私は改めて彼に言う。
「本当に今日はどうもありがとう。ごはんもすごく美味しくて・・・、マサさんにもお礼伝えてね」