春の花咲く月夜には
恋人として付き合うようになってから、先生は、今まで以上に私に優しくしてくれた。
本当に、幸せだった。
ただ、「元教え子と付き合ってるっていうのは恥ずかしいから、関係は誰にも内緒にしてほしい」と先生に言われていたため、中高時代の友達はもちろん、大学の友達にも秘密にしていた。
けれど、妹の奈緒はずっと一緒に暮らしているし、隠し通すことはできなくて、奈緒にだけは、付き合っていることを「絶対秘密」と念を押し、打ち明けていた。
「元担任が彼氏って、少女漫画か!」
・・・なんて、からかわれたりもしたけれど、奈緒はそれから色々相談にも乗ってくれ、外泊の時などはお父さんたちに勘繰られないよう作戦を練って協力してくれた。
先生とは、色々な場所に一緒に行ったし、沢山思い出ができた。
本当に、楽しくて、幸せな日々。
やっぱり、夢みたいな毎日だった。
ーーーーーけれど・・・。
付き合って2年が経った、私が大学4年の春休み。先生から、突然「別れてほしい」と告げられた。
「・・・どうして・・・」
昨日まで、何も変わらなかったのに。
変わらず優しかったのに。
目の前が、一瞬で真っ暗闇になっていく。
「・・・ごめん。心春のことが嫌いになったわけじゃない。ただ・・・、他に気になる人ができたんだ・・・。その人と、今何かあるってわけじゃないけど、この状態で心春と付き合っていくのは申し訳ないし心苦しい気持ちがあって・・・、本当にごめん」
先生は、とてもつらそうだった。
だけど、そんなことを言われて私だってとてもつらかった。
ーーー気になる人?
私のことは嫌いじゃないけど、その人の方が好きだということ・・・?
涙が溢れて、このまま、泣き叫んで先生にすがりたいと思った。
けれど、先生に何度も「ごめん」と頭を下げられて、受け入れるしかないと思った。
ーーーだって、そうするしか道はない。
これ以上、つらそうな先生を見ていることは、それこそ私はつらかったから。
「・・・わか、り、ました・・・」
泣きながら、私はなんとか返事した。
先生は最後にもう一度、「本当にごめん」と言って、私をぎゅっと抱きしめた。
ーーー謝るなら、別れるなんて言わないで。
大きな声で叫びたかった。
すがりついて引き止めたかった。
けれどこれ以上はもう、先生を困らせるなんてできなくて。
ーーー先生に、嫌われることだけはしたくない。
私は、先生のことがどうしようもないほど好きだったから、せめて「いい子」でいたかった。
本当に、幸せだった。
ただ、「元教え子と付き合ってるっていうのは恥ずかしいから、関係は誰にも内緒にしてほしい」と先生に言われていたため、中高時代の友達はもちろん、大学の友達にも秘密にしていた。
けれど、妹の奈緒はずっと一緒に暮らしているし、隠し通すことはできなくて、奈緒にだけは、付き合っていることを「絶対秘密」と念を押し、打ち明けていた。
「元担任が彼氏って、少女漫画か!」
・・・なんて、からかわれたりもしたけれど、奈緒はそれから色々相談にも乗ってくれ、外泊の時などはお父さんたちに勘繰られないよう作戦を練って協力してくれた。
先生とは、色々な場所に一緒に行ったし、沢山思い出ができた。
本当に、楽しくて、幸せな日々。
やっぱり、夢みたいな毎日だった。
ーーーーーけれど・・・。
付き合って2年が経った、私が大学4年の春休み。先生から、突然「別れてほしい」と告げられた。
「・・・どうして・・・」
昨日まで、何も変わらなかったのに。
変わらず優しかったのに。
目の前が、一瞬で真っ暗闇になっていく。
「・・・ごめん。心春のことが嫌いになったわけじゃない。ただ・・・、他に気になる人ができたんだ・・・。その人と、今何かあるってわけじゃないけど、この状態で心春と付き合っていくのは申し訳ないし心苦しい気持ちがあって・・・、本当にごめん」
先生は、とてもつらそうだった。
だけど、そんなことを言われて私だってとてもつらかった。
ーーー気になる人?
私のことは嫌いじゃないけど、その人の方が好きだということ・・・?
涙が溢れて、このまま、泣き叫んで先生にすがりたいと思った。
けれど、先生に何度も「ごめん」と頭を下げられて、受け入れるしかないと思った。
ーーーだって、そうするしか道はない。
これ以上、つらそうな先生を見ていることは、それこそ私はつらかったから。
「・・・わか、り、ました・・・」
泣きながら、私はなんとか返事した。
先生は最後にもう一度、「本当にごめん」と言って、私をぎゅっと抱きしめた。
ーーー謝るなら、別れるなんて言わないで。
大きな声で叫びたかった。
すがりついて引き止めたかった。
けれどこれ以上はもう、先生を困らせるなんてできなくて。
ーーー先生に、嫌われることだけはしたくない。
私は、先生のことがどうしようもないほど好きだったから、せめて「いい子」でいたかった。