春の花咲く月夜には
それから、約半年が経った頃ーーー。

伊織から、「久しぶりに集まろう!」と声をかけられて、中高時代の友達みんなで集まった。

みんなと会うのは、先生を思い出してつらく感じるようにも思ったけれど、就職し、新しい環境で約半年・・・という状況の中、懐かしい顔ぶれと会って色々と話したい気持ちがあったから。

また、成人式の日のように、伊織が先生を呼んでいて、先生とまた会えるかもしれない・・・なんて、相反するばかみたいな期待も同時にあった。



「そっか~、やっぱりみんな大変なんだ」

「まあ、入社して半年だからねえ・・・、まだまだ仕事慣れるのに必死だもん」

「だよねえ」

大学院に進学した子もいるけれど、ほとんどの子は新社会人として働いていた。

それぞれの近況を語り合い、お互いの状況に共感したり、意見をしたり。

わいわいと楽しく話が進む中、伊織が「そういえば」と身を乗り出して話し出す。

「みんな、元村先生が結婚したのって知ってる?」

「えーーーーーっ!!!」

みんなが驚いた声を出し、私は、心臓が止まりそうになってしまった。

「元村先生」という名前にも、「結婚」という言葉にも。

「やだやだーっ!?そうなの!?」

「いついつ?」

「先月だって。もー、あいつ、ずーっと『彼女いない』とか言ってたくせにさ、結婚相手、10年位付き合ってた人らしいんだよねえ」


(えっ・・・?)


心臓が、ドクン、と、苦しいような音を出す。

「10年」と言った伊織の言葉に、私は、大きな違和感があったから。

「『恥ずかしくて言えなかった』とか言い訳してたらしいけど、あれ、ぜーったい生徒にモテなくなること心配してだよ!彼女いるって言ったらファンが減る的な?芸能人じゃあるまいし」

「あはは、確かに!んー・・・、でもまああの当時、『彼女いるアピール』されてもうざかったかも」

「あー、それは確かにあるかもねえ。所詮生徒と教師だし。先生も、プライベート全部生徒に話したくはないだろうしねえ」

「・・・・・・」

みんなが盛り上がる中で、私はひとり、困惑状態になっていた。

ショックより、理解できない戸惑いだ。
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