春の花咲く月夜には
それから、2人で駅前の商店街をぶらぶらしつつ、賀上くんおすすめのごはん屋さんへ向かって歩いて行った。
休日に、ギターを背負った彼と2人で歩く道。
必要以上に隣を意識してしまい、緊張はなかなか解けない。
賀上くんも緊張しているみたいだし、なにか和むような話題はないかと考える。
けれど、緊張と焦りで頭の中は真っ白で、私には、そんな話題は見つからなかった。
(うーん、でも、なにかないかな・・・)
考えながら歩いていると、ちょうど目の前の信号が赤に変わって立ち止まる。
と、一呼吸おいたところで、賀上くんが私を見下ろし問いかけた。
「心春さん、この辺って初めてですか?」
少しだけ、ぎこちなさを感じる口調。
お互い緊張気味の中、彼も話題を探してくれていたのだろう。
「・・・うん。わりと家から近いけど・・・、この駅で降りたのはそういえば初めてだと思う」
「そっか。まあ、大きい施設もないし基本住宅地ですからね。用事がないと降りない駅だと思いますけど・・・、穴場的な店も意外と多くて、歩いてると結構おもしろいですよ」
「そうなの?」
「はい。この前は『ウォンバットカフェ』っていうの見つけて行ってきました」
「ウォ、ウォンバットカフェ!?」
(ウォンバットって・・・、つぶらな瞳の、むっくりした感じのかわいい動物だよね・・・)
こげ茶色をした丸いフォルムの動物を、頭の中で思い出す。
実際に目にしたことはないけれど、日本では動物園にしかいないイメージだ。
そのカフェって・・・と、頭に「?」を描いていると、賀上くんはぷっと笑った。
「猫カフェとかイメージすると、かなり謎に思いますよね。オレも好奇心で入ったんですけど・・・、もちろん動物は店にいなくって。ただ、ウォンバットグッズに埋めつくされた空間で、ウォンバット好きの店主にひたすらウォンバット愛を語られるっていう・・・、ディープな感じの店でした」
(お、おお・・・)
「なかなかマニアックな感じだね・・・」
「はい。けど、結構おもしろかったです」
休日に、ギターを背負った彼と2人で歩く道。
必要以上に隣を意識してしまい、緊張はなかなか解けない。
賀上くんも緊張しているみたいだし、なにか和むような話題はないかと考える。
けれど、緊張と焦りで頭の中は真っ白で、私には、そんな話題は見つからなかった。
(うーん、でも、なにかないかな・・・)
考えながら歩いていると、ちょうど目の前の信号が赤に変わって立ち止まる。
と、一呼吸おいたところで、賀上くんが私を見下ろし問いかけた。
「心春さん、この辺って初めてですか?」
少しだけ、ぎこちなさを感じる口調。
お互い緊張気味の中、彼も話題を探してくれていたのだろう。
「・・・うん。わりと家から近いけど・・・、この駅で降りたのはそういえば初めてだと思う」
「そっか。まあ、大きい施設もないし基本住宅地ですからね。用事がないと降りない駅だと思いますけど・・・、穴場的な店も意外と多くて、歩いてると結構おもしろいですよ」
「そうなの?」
「はい。この前は『ウォンバットカフェ』っていうの見つけて行ってきました」
「ウォ、ウォンバットカフェ!?」
(ウォンバットって・・・、つぶらな瞳の、むっくりした感じのかわいい動物だよね・・・)
こげ茶色をした丸いフォルムの動物を、頭の中で思い出す。
実際に目にしたことはないけれど、日本では動物園にしかいないイメージだ。
そのカフェって・・・と、頭に「?」を描いていると、賀上くんはぷっと笑った。
「猫カフェとかイメージすると、かなり謎に思いますよね。オレも好奇心で入ったんですけど・・・、もちろん動物は店にいなくって。ただ、ウォンバットグッズに埋めつくされた空間で、ウォンバット好きの店主にひたすらウォンバット愛を語られるっていう・・・、ディープな感じの店でした」
(お、おお・・・)
「なかなかマニアックな感じだね・・・」
「はい。けど、結構おもしろかったです」