きみと3秒見つめ合えたなら
第5章〜届いた想い

最後の夏

 私は最後の部活に向けて、何もかも忘れて全力を尽くすことに決めた。大学では陸上はしない。もうこんなに走ることがないんだ...と思うと、おのずと練習に打ち込むことが出来た。  

「絢音先輩、絶対一緒に県大会行きましょうね!」茉莉ちゃんも最近、気合いが入っている様子。

 桐谷くんとは、あの日のメッセージを最後に連絡を取っていない。
 私は部活中も自分に集中して、考えないようにしている。


 まだ、待っていてくれるのだろうか?
こんな私を見限ってしまわないだろうかと、不安もあるけど。



 そして、総体地区予選。
 私は200mとリレーで、桐谷くんは400mとリレーで3位以内に入ることができ、来月の県大会に進む事ができた。

 あと1ヶ月。桐谷くんの走る姿を間近で見ることができる。
 そして、県大会が終わったら、私は桐谷くんに「好き」と伝える。
 そう決めていた。
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