きみと3秒見つめ合えたなら

〜恭介side〜最高の夏

「先輩の答え、さすがに教えてくれない?」
 オレは勇気をふりしぼって聞いた。
 
 本当は答えを聞くのが怖かった。あの日から、ずいぶん時が経っていたけれど、先輩との距離は全然縮まらなくて。

 やっぱり答えはNOなのだろうかと、常に不安だった。

 春菜のヤキモチ作戦は大成功だった。

 だけど...この沈黙。

 優しい先輩はオレが傷付かない断り方を考えているのかもしれない。

 ようやく、先輩が口を開いた。

「私、受験生なの。」
「知ってる。」

「でね、部活終わったら、勉強頑張ろうって思ってて。」
「うん。」

 あぁ、絶対断られるやつじゃん。
 受験だから、誰とも付き合わない、みたいな?

「だから...」
「だから? それと先輩の答えって関係あるの?」
 
 思い切って、本音をぶつけた。

 何分、沈黙が続いただろうか。
 
 きっと振られる。
 こんなことなら、卒業まで『推し』のままいた方が辛くなかったかもしれない。
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