きみと3秒見つめ合えたなら
 最終宿泊の夕食は「おつかれさま会」も兼ねていて、ちょっと長めに過ごす。

 ここでもあまり先輩に絡めず。
昼、一緒に走ったの、本当に楽しかったな...と先輩をチラッと見たが、全然、オレは視界に入ってないようだった。


 茉莉には1時と言われたが、多分、起きられそうにないので、まだ12時だが外にでる。

 別に「起きられなかった」...と約束を破ることもできなくはないが、オレが来るまでずっと茉莉が待つことになって、風邪でも引かれたら大変だし、こういうことは早くはっきりさせた方がお互いの為だと思って、約束は守ることにした。

「茉莉?」
あれ?もう来てるじゃないか。
さっさと済ませて、寝よう...と思った。


 振り返ったのは茉莉ではなくて、相川先輩だった。
なんで?

「あ、ごめん、茉莉ちゃんと約束?」

「うん、なんか来てって。先輩…そのウインドブレーカー、茉莉のじゃない?
背中にMARIって書いてありますよ。」 

 暗かったのもあって、茉莉だと疑わなかった。
 でも、まさかの相川先輩で嬉しかった。
 すっと隣に座ってみた。

「え?やだ。間違って羽織ってきちゃった。ちょっと、眠れなくていただけだから、じゃ、私、帰るね。」
相川先輩がベンチから立ちあがった。

 オレは考える間もなく、本能的に先輩の(いや、本当は茉莉の)、ウインドブレーカーを掴んだ。

「え?何?」
先輩がびっくりしていた。
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