エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
 その事情があったから、梓は寂しく思ったものの、恋心をそっと心の奥へしまいこんだ。

 平和を乱したくはなかったし、それ以上に、憧れであり、好きになってしまった和臣の邪魔になるようなことは、もっとしたくなかった。

 だから告白など考えもせず、生徒会の直属後輩として一緒に過ごすことができるだけで満足していたのだ。

 そして一年が経ち、和臣が卒業となった。

 恋が叶わない気持ちとは別に、後輩としてでも一緒に過ごせないことに寂しくなったけれど、仕方のないことだ。

 梓はにこっと笑って、ここだけは許してほしい、と和臣に贈り物をした。

 生徒会でも『ずっとお世話になりました』ということで花と記念品を贈ることになっていたけれど、個人的にだ。

 下心なんてなかった。本当に、お世話になった気持ちと、そして彼を好きでいた素敵な日々をもらったことへのお礼だった。

 そして多分、和臣もそれはわかってくれたのだと思う。

「気を使わせて悪いな、でもすごく嬉しいよ」

 そう言って、梓がどきどきしながら渡した小さい紙袋を受け取ってくれた。

「ありがとう」

 最後にそう言ってくれた和臣の笑顔を、胸の奥にしっかりしまって、梓は進級した。

 二年生になり、和臣が同じ学校と生徒会にいない日々は寂しかったけれど、それでも時間の流れは優しいのか、残酷なのか。少しずつその気持ちは薄れていって……。

 高校時代が終わる頃にはもうすっかり『過去の良い想い出』になっていた。

 だから大学に受かって、入学して、そこで初めての彼氏ができても、梓の胸の奥できらきらした想い出のままでいてくれたのである。
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