エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
「ただいま」

「和臣さんも、おかえりなさい」

 そのあとから和臣が入ってくる。

 こちらはスーツ姿。

 仕事が早めに上がれると言ったので、和を迎えに行ってくれたのだ。

「体調はどうだ?」

 ジャケットを脱いで、ソファの背に掛けながら和臣は梓を気遣うことを言ってくれた。

 梓は笑みを浮かべてみせる。

「うん、今日は気分がいいの」

 本当に、今日は朝から体調が良かった。

 ここしばらく、悪いと起き上がれない日もあったので、和臣も毎日「今日は辛くないか?」と言ってくれるのだった。

 その間に和は幼稚園のバッグを下ろして、帽子も脱いで、ぽすんと梓の隣に腰掛けてきた。

 梓のほうへ身を乗り出す。

「ね、ね、ほんとにわたしが卒園する前?」

 もう何度も聞いている質問に、梓は笑ってみせて、和の頭を撫でた。

「そうだよ。和の誕生日より、少し前」
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