エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
 やはりタクシーで来て良かったのだ。

 和を抱っこしたまま、梓は再びタクシーに乗り込み、帰宅した。

 病院に行こうかとも思った。

 だがおそらく和の熱は、心情的なものから来る要因が大きいだろう。

(一日、様子を見よう)

 そう思って、家に帰り、布団に寝かせた。

「和、お水、飲んで」

 和用のうさぎのイラストがついたコップに水を注ぎ、持っていく。

 和は眠っていなかったようで、首を振った。

「いらない……」

 そう言われるだろうと思ったけれど、それは駄目だ。

 まだ食べられないだろうから、せめて水と薬だけでも与えなければ。

「少しだけ、頑張ろう?」

 なだめて、水とシロップの薬をなんとか飲ませた。

 横になった和は、熱と、おそらく疲労のためにすぐ寝入ってしまった。
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